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遺伝性痙性対麻痺SPG8変異はCAV1依存性のインテグリン介在性細胞接着を障害する

Hereditary spastic paraplegia SPG8 mutations impair CAV1-dependent, integrin-mediated cell adhesion

Research Article

Sci. Signal. 07 Jan 2020:
Vol. 13, Issue 613, eaau7500
DOI: 10.1126/scisignal.aau7500

Seongju Lee1,2, Hyungsun Park2, Peng-Peng Zhu1, Soon-Young Jung3,4, Craig Blackstone1,*, and Jaerak Chang1,3,4,*

  1. 1 Cell Biology Section, Neurogenetics Branch, National Institute of Neurological Disorders and Stroke, National Institutes of Health, Bethesda, MD, USA.
  2. 2 Department of Anatomy and Hypoxia-Related Disease Research Center, College of Medicine, Inha University, Incheon 22212, Republic of Korea.
  3. 3 Department of Biomedical Sciences, Ajou University School of Medicine, Suwon 16499, Republic of Korea.
  4. 4 Department of Brain Science, Ajou University School of Medicine, Suwon 16499, Republic of Korea.

* Corresponding author. Email: blackstc@ninds.nih.gov (C.B.); jaerakchang@ajou.ac.kr (J.C.)

要約

WASHC5(別名KIAA0196)の変異は、常染色体優性遺伝性痙性対麻痺(HSP)SPG8型を引き起こす。一般にストラムペリン(strumpellin)と呼ばれているWASHC5は、エンドソームでのアクチン核形成を活性化する、WASH(ウィスコット・アルドリッチ症候群タンパク質SCARホモログ:Wiskott-Aldrich syndrome protein and SCAR homolog)複合体の中心的要素である。ストラムペリン(Strumpellin)にはその他のさまざまな細胞内役割も報告されているが、いずれによっても、SPG8関連変異がHSPを引き起こす仕組みは説明されない。今回われわれは、免疫沈降と質量分析によりWASH複合体のタンパク質相互作用物質を同定し、培養細胞において、細胞接着を調べる細胞伸展アッセイとともに過剰発現とRNA干渉の両方を用いて、ストラムペリン(strumpellin)の機能を評価した。病原性SPG8変異によって生じる、CAV1タンパク質存在量の減少とエンドソーム分裂障害が明らかになった。カベオラの主要構成要素であるCAV1が、細胞内でストラムペリン(strumpellin)と相互作用し、ストラムペリン(strumpellin)がCAV1のリソソーム分解を阻害した。ストラムペリン(Strumpellin)にSPG8関連ミスセンス変異があると、ストラムペリン(strumpellin)欠損細胞におけるエンドソーム管形成の障害、CAV1タンパク質存在量の減少、インテグリン介在性細胞接着がレスキューされなかった。機構的には、WASH複合体が、そのエンドソームアクチン核形成活性を介して、CAV1およびインテグリンのリソソーム分解を阻害することによって、それらのタンパク質量を維持することが示された。さらに、ストラムペリン(strumpellin)とCAV1の相互作用によりインテグリンリサイクリングが刺激され、それによって細胞接着が促進された。これらの結果は、WASHC5変異と、CAV1およびインテグリン介在性細胞接着の障害との分子的なつながりを明らかにしており、SPG8の細胞学的病因に関する知見をもたらす。

Citation: S. Lee, H. Park, P.-P. Zhu, S.-Y.Jung, C. Blackstone, J. Chang, Hereditary spastic paraplegia SPG8 mutations impair CAV1-dependent, integrin-mediated cell adhesion. Sci. Signal. 13, eaau7500 (2020).

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2020年1月7日号

Research Article

遺伝性痙性対麻痺SPG8変異はCAV1依存性のインテグリン介在性細胞接着を障害する

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