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NRFファミリーの近接プロテオミクス解析によりNRF2の共複合リプレッサーとしてのパーキンソン病タンパク質ZNF746/PARISを解明
Proximity proteomic analysis of the NRF family reveals the Parkinson’s disease protein ZNF746/PARIS as a co-complexed repressor of NRF2
SCIENCE SIGNALING
12 Dec 2023 Vol 16, Issue 815
[DOI: 10.1126/scisignal.adi9018]
Kyle M. LaPak1, Soma Saeidi1, †, Ilah Bok1, †, Nathan T. Wamsley1, Isaac B. Plutzer1, Dhaval P. Bhatt1, Jingqin Luo2, Ghazaleh Ashrafi1, 3, M. Ben Major1, *
- 1 Department of Cell Biology and Physiology, Washington University, St. Louis, MO 63110, USA.
- 2 Division of Public Health Sciences, Department of Surgery, WUSM and Siteman Cancer Center Biostatistics and Qualitative Research Shared Resource, Washington University, St. Louis, MO 63110, USA.
- 3 Department of Genetics, Washington University, St. Louis, MO 63110, USA.
* Corresponding author. Email: bmajor@wustl.edu
† These authors contributed equally to this work.
Editor's summary
神経変性疾患において生じる細胞死の原因には、酸化ストレスに対する細胞応答を開始させる転写因子NRF2の機能低下がある。LaPakらは近接プロテオミクス解析を用いて、NRF2およびそれに関連するファミリーメンバーの結合パートナーの同定を試みた。その結果、パーキンソン病において存在量が増加している、NRF2に結合してその活性を抑制するフィンガー型転写因子ZNF746(別名PARIS)を発見した。パーキンソン病研究に一般的に使用されている神経細胞株では、ZNF746の過剰発現により、アポトーシスおよび酸化ストレスが亢進した。これらのデータは、パーキンソン病においてNRF2活性の抑制に寄与する可能性がある潜在的機構を解明した。—Wei Wong
要約
転写因子である核因子赤血球由来2関連因子2(NRF2)は種々の求電子性ストレス因子に応答して、細胞保護作用および代謝に関わる遺伝子発現を活性化する。NRF2の恒常的活性はがんの進行を促進するが、NRF2機能の低下は神経変性疾患に寄与している。われわれは近接プロテオミクス解析を用いて、NRF2およびそのファミリーメンバーであるNRF1、NRF3とNRF2ヘテロ二量体MAFGに関するタンパク質ネットワークを明らかにした。共複合タンパク質の機能的スクリーニングから、これまで特性が明らかにされていなかったNRF2転写活性の調節因子を解明した。パーキンソン病と関連している亜鉛フィンガー転写因子であるこのZNF746(別名、PARIS)は、NRF2およびMAFGと物理的に会合し、結果としてNRF2により誘導される転写を抑制していた。パーキンソン病の神経細胞モデルではZNF746の過剰発現により酸化ストレスおよびアポトーシスが亢進し、このような表現型はNRF2の化学的および遺伝学的な過剰活性化により回復した。本研究から機能的にアノテーションされたNRF2の近接ネットワークが示され、パーキンソン病におけるZNF746の過剰発現と、NRF2により誘導される神経保護の抑制との間の関連性が示唆された。