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非自己RNAがIFN-βシグナル伝達を再配線する:自然免疫応答の数理モデル

Nonself RNA rewires IFN-β signaling: A mathematical model of the innate immune response

Research Article

SCIENCE SIGNALING
12 Dec 2023 Vol 16, Issue 815
[DOI: 10.1126/scisignal.abq1173]

Zbigniew Korwek, Maciej Czerkies, Joanna Jaruszewicz-Błońska, Wiktor Prus, Ilona Kosiuk, Marek Kochańczyk, Tomasz Lipniacki*

Department of Biosystems and Soft Matter, Institute of Fundamental Technological Research of the Polish Academy of Sciences, Warsaw 02-106, Poland.

* Corresponding author. Email: tlipnia@ippt.pan.pl

† These authors contributed equally to this work.

Editor's summary

ウイルス感染の開始時に、少数の細胞がI型インターフェロン(IFN)を分泌する。このIFNは、感染細胞内のSTAT転写因子による一過的なシグナル伝達と、近傍の非感染細胞内の長期にわたるSTATシグナル伝達を刺激し、そこでの抗ウイルスタンパク質の蓄積を可能にする。Korwekらは、ウイルス感染を模倣する免疫刺激剤であるポリ(I:C)で処理した細胞における転写因子および抗ウイルスタンパク質のシグナル伝達動態に及ぼすI型IFNの影響を測定した。これらのデータを用いて、IFNの事前刺激がどのようにして、効果的な抗ウイルス応答を開始するために必要な重要な変換である、ポリ(I:C)処理細胞のIFN応答細胞からIFN分泌細胞への切り替えを引き起こしたかを説明する数理モデルを作製した。—John F. Foley

要約

I型インターフェロン(IFN)は、ウイルス感染に対する自然免疫応答の重要な調整因子であり、近傍の細胞内の転写制御因子STAT1およびSTAT2(STAT1/2)の活性化を通じて、IFN刺激遺伝子(ISG)の発現を誘導する。今回われわれは、ウイルスRNAの類似体であるポリ(I:C)をトランスフェクトした細胞では、インターフェロン-β(IFN-β)受容体IFNARの減少によりSTAT1/2の転写活性が停止することを示した。2つのISGの産物であるRNase LおよびPKRの活性化は、IFNARの補充を妨げるだけでなく、IRF3とNF-κBの負の制御因子も抑制し、その結果IFNB転写を促進した。われわれは、これらの知見を自然免疫の数理モデルに組み込んだ。IRF3-NF-κBおよびSTAT1/2経路を介したシグナル伝達とRNase LおよびPKRの活性を結びつけることにより、このモデルは、ポリ(I:C)が転写プログラムを、IFN-β応答細胞をIFN-β分泌細胞に変換する、STAT1/2誘導からIRF3およびNF-κB誘導にどのように切り替えるかを説明する。

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