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比較プロテオミクス解析によってタンパク質品質管理におけるSUMOの役割を特定する

Comparative Proteomic Analysis Identifies a Role for SUMO in Protein Quality Control

Research Resources

Sci. Signal., 21 June 2011
Vol. 4, Issue 178, p. rs4
[DOI: 10.1126/scisignal.2001484]

Michael H. Tatham1, Ivan Matic1,2, Matthias Mann2, and Ronald T. Hay1*

1 Wellcome Trust Centre for Gene Regulation and Expression, College of Life Sciences, University of Dundee, Dundee DD1 5EH, Scotland, UK.
2 Department of Proteomics and Signal Transduction, Max Planck Institute for Biochemistry, Am Klopferspitz 18, D-82152 Martinsried, Germany.

* To whom correspondence should be addressed. E-mail: r.t.hay@dundee.ac.uk

要約:低分子ユビキチン様修飾因子(SUMO)は、共有結合性の翻訳後修飾によってさまざま な細胞タンパク質の機能を変化させ、それによって遺伝子の転写、細胞周期、DNA修復などの数多くの細胞機能に影響を及ぼす。ユビキチンの結合と SUMO-2/3の結合ほとんどは、機能的にも機構的にも互いに独立しているが、プロテアソーム阻害の条件下ではどちらも亢進するようである。SUMOと プロテアソームによるタンパク質分解との関連性をさらに解明するために、われわれは、MG132によってプロテアソームを短期および長期に阻害した後に、 SUMO-2基質の定量的プロテオミクス解析を行った。熱ストレスに応答して生じるSUMO-2結合サブプロテオームへの変化との比較によって、2つの状 態の質的および量的な類似が明らかになった。しかし、熱ストレスとは対照的に、MG132によって誘発されるSUMO-2結合の増大は、タンパク質合成に 厳密に依存していた。このことから、新たに合成され、プロテアソームによって分解される運命にあるミスフォールドタンパク質の蓄積が、SUMO結合反応を 誘発することが示唆された。さらに、プロテアソームの阻害によって、すべてのSUMOパラログの結合型が不溶性タンパク質封入体に蓄積するとともに、プロ テアソームによる分解のシグナルにはならないと考えられるリジン63結合ポリユビキチン鎖が、SUMO-2基質に蓄積した。これらの結果を考えあわせる と、SUMOは、ミスフォールドタンパク質の蓄積に対する細胞応答において、複数のプロテアソーム非依存的な役割を担うことが示唆される。

M. H. Tatham, I. Matic, M. Mann, R. T. Hay, Comparative Proteomic Analysis Identifies a Role for SUMO in Protein Quality Control. Sci. Signal. 4, rs4 (2011).

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