正常細胞からがん細胞へ形質転換すると、一般的には足場非依存性増殖が可能になり無秩序に増殖します。そうして増えたがんからがん細胞が血流に放出されると、血液を循環し、最終的に体内の新しい場所で血管から遊走し、正常な組織に浸潤・増殖する、いわゆる転移が生じます。がんは正常組織とは異なる微小環境にあり、その内部は低酸素/無酸素状態です。また放射線治療が困難で、化学療法の薬剤に耐性があることから、固形腫瘍中の低酸素細胞のパーセンテージと、がん治療予後との間には相関関係があります。また近年、再発・転移の解釈として、"がん幹細胞" (図1) がさかんに研究されています。このがん幹細胞はがん化した細胞がリプログラミングされ生じると言われています。がんを根絶するためにはがん幹細胞の排除が必須であると考えられ、がん幹細胞は、がん治療の究極の標的として注目されています。

図1、がん幹細胞