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がん
核内のピルビン酸キナーゼM2による増殖促進

Cancer
Promoting Proliferation with Nuclear Pyruvate Kinase M2

Editor's Choice

Sci. Signal., 6 December 2011
Vol. 4, Issue 202, p. ec337
[DOI: 10.1126/scisignal.4202ec337]

Nancy R. Gough

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

W. Yang, Y. Xia, H. Ji, Y. Zheng, J. Liang, W. Huang, X. Gao, K. Aldape, Z. Lu, Nuclear PKM2 regulates β-catenin transactivation upon EGFR activation. Nature 480, 118–122 (2011). [PubMed]

ピルビン酸キナーゼM2(PKM2)は、がん細胞の異常な代謝と関連がある代謝酵素である。Yangらは、PKM2ががん細胞の増殖に寄与する核内での機能も有することを示す。免疫蛍光解析および細胞分画研究によって、グリア芽細胞腫細胞を上皮増殖因子(EGF)で処理すると、PKM2の核内蓄積が促進されることが示され、免疫共沈降研究によって、EGFが核におけるPKM2とβ-カテニンの相互作用を促進することが示唆された。免疫共沈降解析、ならびにin vitroの実験によって、PKM2のβ-カテニンとの相互作用はPKM2のLys433、およびβ-カテニンのTyr333のc-Srcによるリン酸化に依存することが示された。薬理学的にc-Src活性を欠失させた場合、あるいはc-Src欠損細胞では、EGFを介するPKM2とβ-カテニンの相互作用が遮断された。クロマチン免疫沈降解析によって、EGFに応答するβ-カテニンのサイクリンD1プロモーター(CCND1)への動員には、Tyr333が必要であり、EGFがヒストン脱アセチル化酵素3のクロマチンからの解離とヒストン3のアセチル化を促進し、これらはすべて、PKM2欠乏によって抑制されることが示された。点突然変異PKM2を用いたレスキュー実験によって、β-カテニンとの相互作用には触媒活性は必要ないが、PKM2とCCND1プロモーターの相互作用とヒストンアセチル化の誘導にはβ-カテニンとの相互作用に必要な残基とPKM2触媒活性の両方が必要であることが示された。培養細胞およびマウスに頭蓋内注入した細胞のいずれにおいても、サイクリンD1の産生は細胞増殖を促進し、β-カテニンまたはPKM2の欠乏は、EGFに依存する細胞増殖を低下させ、結果として腫瘍の成長が抑制された。ヒトグリア芽細胞腫検体と患者の生存について解析したところ、活性型のc-Src、Tyr333がリン酸化されたβ-カテニン、および核内のPKM2の量が、生存の低下と関連していることが示された。このように、PKM2は、がん細胞の代謝における細胞質での役割に加えて、細胞増殖を促進する核内転写制御因子としても機能する。

N. R. Gough, Promoting Proliferation with Nuclear Pyruvate Kinase M2. Sci. Signal. 4, ec337 (2011).

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2011年12月6日号

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