• ホーム
  • PDLIM2がTヘルパー17細胞の発達と肉芽腫性炎症をSTAT3の分解を介して抑制する

PDLIM2がTヘルパー17細胞の発達と肉芽腫性炎症をSTAT3の分解を介して抑制する

PDLIM2 Inhibits T Helper 17 Cell Development and Granulomatous Inflammation Through Degradation of STAT3

Research Article

Sci. Signal., 6 December 2011
Vol. 4, Issue 202, p. ra85
[DOI: 10.1126/scisignal.2001637]

Takashi Tanaka1*†, Yu Yamamoto2*, Ryuta Muromoto2, Osamu Ikeda2, Yuichi Sekine2, Michael J. Grusby3, Tsuneyasu Kaisho4,5, and Tadashi Matsuda2†

1 Laboratory for Inflammatory Regulation, RIKEN Research Center for Allergy and Immunology, Yokohama, Kanagawa 230-0045, Japan.
2 Department of Immunology, Graduate School of Pharmaceutical Sciences, Hokkaido University, Sapporo, Hokkaido 060-0812, Japan.
3 Department of Immunology and Infectious Diseases, Harvard School of Public Health, Boston, MA 02115, USA.
4 Laboratory for Host Defense, RIKEN Research Center for Allergy and Immunology, Yokohama, Kanagawa 230-0045, Japan.
5 Laboratory for Immune Regulation, WPI Immunology Frontier Research Center, Osaka University, Osaka 565-0871, Japan.

* These authors contributed equally to this work.

† To whom correspondence should be addressed. E-mail: ttanaka@rcai.riken.jp (T.T.); tmatsuda@pharm.hokudai.ac.jp (T.M.)

要約:肉芽腫の形成は、細胞内の細菌に対する重要な宿主防御機構であるが、制御不能な肉芽腫性炎症は病的である。Tヘルパー17(TH17)細胞は、肉芽腫などの自己免疫疾患や炎症性疾患を引き起こすと考えられる。本稿でわれわれは、PDZ-LIMドメインタンパク質のPDLIM2が、核内ユビキチンE3リガーゼとして働き、ナイーブCD4+T細胞からTH17細胞型への分化にとって重要な転写因子であるシグナル伝達性転写アクチベーター3(STAT3)を標的とすることによって、TH17細胞の発達と肉芽腫応答を抑制したことを報告する。PDLIM2は、STAT3のポリユビキチン化とプロテアソームによる分解を促進することによって、STAT3を介する遺伝子の活性化を妨げた。PDLIM2を欠損させると、核内にSTAT3が蓄積し、TH17細胞の分化と肉芽腫の形成が亢進した。本研究は、STAT3のシグナル伝達を抑制することによって、PDLIM2がTH17細胞による炎症応答の抑制に不可欠な役割を果たしていることが明らかにし、PDLIM2が自己免疫疾患治療のための治療標的となることが期待される。

T. Tanaka, Y. Yamamoto, R. Muromoto, O. Ikeda, Y. Sekine, M. J. Grusby, T. Kaisho, T. Matsuda, PDLIM2 Inhibits T Helper 17 Cell Development and Granulomatous Inflammation Through Degradation of STAT3. Sci. Signal. 4, ra85 (2011).

英文原文をご覧になりたい方はScience Signaling オリジナルサイトをご覧下さい

英語原文を見る

2011年12月6日号

Editors' Choice

がん
核内のピルビン酸キナーゼM2による増殖促進

Editorial Guides

単純に伝えるという複雑な技術

Research Article

PDLIM2がTヘルパー17細胞の発達と肉芽腫性炎症をSTAT3の分解を介して抑制する

21種類のSH2ドメイン含有タンパク質が真核生物のホスホチロシンシグナル伝達の起源と範囲を確立する

神経成長円錐の退縮はRacを介するプロニューロトロフィン受容体のシグナル伝達に依存する

最新のResearch Article記事

2025年09月09日号

フソバクテリウム・ヌクレアタムは酪酸駆動型エピジェネティック機構を通じてアンフェタミン誘導行動応答を増強する

2025年09月02日号

一次感覚ニューロンのGαqシグナル伝達がオピオイドの鎮痛作用をNMDA受容体誘導性の耐性および痛覚過敏に変化させる

2025年09月02日号

MAPKおよびmTORC1シグナル伝達は収束してサイクリンD1タンパク質の産生を駆動することによってメラノーマのパーシスター(残存)細胞における細胞周期の再開を可能にしている

2025年08月26日号

大腸菌(Escherichia coli)のストレス誘導性低分子タンパク質の解析により、YoaIが別個のシグナル伝達系間のクロストークを調節することが明らかに

2025年08月19日号

Hox-C12はβ2-アドレノセプターのcAMP/カルシウムフィードフォワードループとの共役を調整してトリプルネガティブ乳がんの浸潤を促進する