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21種類のSH2ドメイン含有タンパク質が真核生物のホスホチロシンシグナル伝達の起源と範囲を確立する

The SH2 Domain–Containing Proteins in 21 Species Establish the Provenance and Scope of Phosphotyrosine Signaling in Eukaryotes

Research Article

Sci. Signal., 6 December 2011
Vol. 4, Issue 202, p. ra83
[DOI: 10.1126/scisignal.2002105]

Bernard A. Liu1,2*, Eshana Shah1, Karl Jablonowski1, Andrew Stergachis1, Brett Engelmann1,3, and Piers D. Nash1,2†

1 Ben May Department for Cancer Research, University of Chicago, 929 East 57th Street, Chicago, IL 60637, USA.
2 Committee on Cancer Biology, University of Chicago, Chicago, IL 60637, USA.
3 Department of Biochemistry and Molecular Biology, University of Chicago, Chicago, IL 60637, USA.

* Present address: Samuel Lunenfeld Research Institute, 600 University Avenue, Toronto, Ontario M5G 1X5, Canada.

† To whom correspondence should be addressed. E-mail: pdnash.uchicago@gmail.com

要約:Src相同2(SH2)ドメインは、後生動物のシグナル伝達に関与し、チロシンリン酸化された基質との調節性タンパク質間相互作用の主要メディエーターとして働く。本稿では、SH2ドメインが最初に出現した基本的な単細胞真核生物から、多細胞動物を経て、ますます複雑化していく後生動物までを含めた21種類の真核生物の配列解析によって、SH2ドメインタンパク質の起源と進化について記述する。われわれの結果によれば、SH2ドメインとホスホチロシンシグナル伝達は初期のユニコンタ(Unikonta:1本の鞭毛を持つ真核生物)で出現し、SH2ドメインの数は襟鞭毛虫と後生動物の系統でチロシンキナーゼの発達に伴って急増し、初期の多細胞動物におけるホスホチロシンシグナル伝達の急速な緻密化を導いた。また、われわれの結果は、SH2ドメインがプロテインチロシンキナーゼおよびチロシンホスファターゼと共進化し、ドメイン数も並行して急増することよって、ホスホチロシンシグナル伝達が下流のシグナル伝達ネットワークと共役していることも示した。遺伝子重複がドメインの獲得あるいは喪失と組み合わさって、ホスホチロシンシグナル伝達の範囲内で機能する新規のSH2含有タンパク質が産生された。それによって、後生動物の多様性と複雑さに寄与した可能性が高い。われわれは、SH2ドメインタンパク質の分子内および分子間の相互作用は、生命体の複雑さが増すにつれて広まったことを見いだし、より高度に連携して確固としたホスホチロシンシグナル伝達ネットワークを生むために機能しているのかもしれないと考える。

B. A. Liu, E. Shah, K. Jablonowski, A. Stergachis, B. Engelmann, P. D. Nash, The SH2 Domain-Containing Proteins in 21 Species Establish the Provenance and Scope of Phosphotyrosine Signaling in Eukaryotes. Sci. Signal. 4, ra83 (2011).

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