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テイラーメイド受容体モジュレーター
Tailored receptor modulators
SCIENCE SIGNALING
12 Aug 2025 Vol 18, Issue 899
DOI: 10.1126/scisignal.aeb2685
John F. Foley
Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA. Email: jfoley@aaas.org
X. Zhang, A.-A. Guseinov, L. Jenkins, A. Valentini, S. Marsango, K. Schultz-Knudsen, T. Ulven, E. Rexen Ulven, I. G. Tikhonova, G. Milligan, C. Zhang, Allosteric modulation and biased signalling at free fatty acid receptor 2. Nature 643, 1428–1438 (2025).
遊離脂肪酸受容体2の正のアロステリックモジュレーターは異なる構造を誘導してGタンパク質シグナル伝達を偏らせる。
遊離脂肪酸受容体2(FFA2)は、腸内細菌叢によって放出される酪酸などの短鎖脂肪酸(SCFA)に結合するGタンパク質共役受容体(GPCR)である。SCFA刺激によるβ-アレスチンおよびGタンパク質のサブセットを介したFFA2シグナル伝達が、宿主防御や炎症の収束など、これらの化合物の有益な効果を媒介することを考えると、FFA2は潜在的な治療標的である。しかしながら、受容体の立体構造とエフェクターの会合がどのように制御されるかについてのより詳細な構造的理解が、受容体を標的とする効果的な薬剤設計に必要である。Zhangらは、FFA2のアゴニストTUG-1375およびSCFA C3に応答した細胞におけるFFA2シグナル伝達に及ぼす3つの正のアロステリックモジュレーター(PAM)の効果を特徴付け、β-アレスチンの動員およびGiおよびGqタンパク質への会合における差異を見出した。次に著者らは、PAMおよびGiまたはGqと複合体を形成したアゴニスト結合FFA2のさまざまなクライオ電子顕微鏡構造を決定した。これらの研究により、FFA2には2つの異なるアロステリック部位が存在することが明らかになり、分子動力学シミュレーションにより、2つのPAMがどのように異なる活性状態コンフォメーションを促進することで受容体のアロステリックアゴニストとして作用するかが示唆された。2つのPAMがFFA2の細胞内ループ2の異なるコンフォメーションを安定化させる差次的な効果は、受容体による偏ったGタンパク質シグナル伝達の基となる潜在的な機構を提供した。合わせるとこれらの知見は、より目的に合わせたGPCR標的薬の設計を可能する、異なるPAMが受容体コンフォメーションに及ぼす特異的な影響に関する洞察を提供する。