感覚が幹細胞をサポート

Sensory support for stem cells

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SCIENCE SIGNALING
28 Oct 2025 Vol 18, Issue 910
DOI: 10.1126/scisignal.aed2818

Annalisa M. VanHook

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA.

Corresponding author. Email: avanhook@aaas.org

Z. Wu, N. Li, Z. Luo, Z. Chen, X. He, F. Shi, J. Han, H. Huang, B. Shi, L. Zhang, Y. Li, J. Shen, S. Bok, J. Sun, X. Niu, K. Mo, P. Yin, L. Leng, X. Wang, J. Zhang, L. Chen, D. Zhou, W. Cheng, J. Huang, M. B. Greenblatt, R. Xu, The p75 neurotrophin receptor controls the skeletal stem cell niche through sensory innervation. Dev. Cell, DOI: 10.1016/j.devcel.2025.09.012 (2025).

感覚ニューロンは骨格幹細胞にオステオポンチンを提供することで、骨の恒常性と修復を促進している。

感覚ニューロンは骨芽細胞と破骨細胞の活性を調節することで骨の成長と恒常性に影響している。Wuらは、感覚ニューロンが骨格幹細胞(SSC)の自己再生と骨芽細胞への分化も支持していることを見いだした。野生型マウスの大腿骨では感覚神経がSSCの近傍に位置しており、感覚ニューロンを除去したマウスではSSC数が減少していた。感覚ニューロンの伸長を促進しているニューロトロフィン受容体p75NTR(Ngfrによりコードされる)を、感覚ニューロンで特異的にノックアウトすると、骨の神経支配、骨容積、およびSSC数と骨芽細胞数が減少し、骨折治癒の遅延が認められた。野生型ドナーからのSSCをこのノックアウトマウスに移植したとき、その生着率は低く、成熟した骨芽細胞数は少なかった。in vitroおよびin vivoの実験から、感覚ニューロンは、サイトカインであるオステオポンチン(OPN、Spp1によりコードされる)の放出を通じてSSCの自己再生、骨形成および骨折治癒を促進すること、またこれはp75NTRを欠損している感覚ニューロンでは低下していることが実証された。アルツハイマー病は感覚消失および骨減少症との関連が認められている。5xFADアルツハイマー病マウスモデルの大腿骨では感覚神経支配、Ngfrの発現、およびOPNの存在量が減少しており、OPNの投与により骨折部位のSSC数が増加して治癒が改善した。さらに、感覚ニューロンのp75NTRを欠損させた5xFADマウスでは骨量減少がさらに悪化しなかったことから、アルツハイマー病に伴う骨減少症は、感覚ニューロンを介したSSC制御の阻害によると考えられる。これらの知見から、SSCのニッチ因子としての感覚ニューロン由来OPNが同定され、さらに、感覚神経支配がアルツハイマー病と関連する骨減少症に寄与している可能性が示唆された。

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