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Roquin-2はユビキチンに仲介されるASK1の分解を促進してストレス応答を調節する

Roquin-2 Promotes Ubiquitin-Mediated Degradation of ASK1 to Regulate Stress Responses

Research Article

Sci. Signal., 21 January 2014
Vol. 7, Issue 309, p. ra8
[DOI: 10.1126/scisignal.2004822]

Takeshi Maruyama1, Toshihiro Araki1, Yosuke Kawarazaki1, Isao Naguro1, Susanne Heynen2, Pedro Aza-Blanc2, Ze’ev Ronai2, Atsushi Matsuzawa1, and Hidenori Ichijo1*

1 Laboratory of Cell Signaling, Graduate School of Pharmaceutical Sciences, The University of Tokyo, 7-3-1 Hongo, Bunkyo-ku, Tokyo 113-0033, Japan.
2 Sanford-Burnham Medical Research Institute, 10901 North Torrey Pines Road, La Jolla, CA 92037, USA.

* Corresponding author. E-mail: ichijo@mol.f.u-tokyo.ac.jp

要約

アポトーシスシグナル調節キナーゼ1(ASK1、別名MAP3K5)は、活性酸素種(ROS)に誘導される細胞死を仲介する。ASK1は、ROSによって活性化されると、最終的にユビキチン化されてプロテアソームにより分解されるが、その過程はユビキチン特異的プロテアーゼUSP9Xによって拮抗される。HeLa細胞における機能性低分子干渉RNA(small interfering RNA:siRNA)スクリーニングを用いて、われわれは、ROSに誘導されるASK1のユビキチン化と分解に必要なE3ユビキチンリガーゼとしてRoquin-2(別名RC3H2)を同定した。H2O2で処理した細胞でRoquin-2をノックダウンさせると、ASK1とその下流のストレス応答性キナーゼであるJNK(c-Jun amino-terminal kinase、c-Jun N末端キナーゼ)とp38 MAPK(mitogen-activated protein kinase、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ)の持続性の活性化が促進され、細胞死が引き起こされた。線虫(Caenorhabditis elegans)は、細菌感染に応答する防御機構としてROSを産生する。C. elegansでは、Roquin-2のオルソログであるRLE-1をコードする遺伝子の変異がASK1のオルソログであるNSY-1の活性型の蓄積を促進し、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)による感染に対する抵抗力を高めた。このように今回のデータは、Roquin-2によって仲介されるASK1の分解が、病原体耐性や細胞死などのストレス応答の適切な調節に必要とされる進化的に保存された機構であることを示している。

T. Maruyama, T. Araki, Y. Kawarazaki, I. Naguro, S. Heynen, P. Aza-Blanc, Z. Ronai, A. Matsuzawa, H. Ichijo, Roquin-2 Promotes Ubiquitin-Mediated Degradation of ASK1 to Regulate Stress Responses. Sci. Signal. 7, ra8 (2014).

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