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BTG1は、ステアロイル-CoA不飽和化酵素1(SCD1)量を減少させ、肝脂質代謝を変えることにより脂肪肝を改善する
BTG1 ameliorates liver steatosis by decreasing stearoyl-CoA desaturase 1 (SCD1) abundance and altering hepatic lipid metabolism
Sci. Signal. 17 May 2016:
Vol. 9, Issue 428, pp. ra50
DOI: 10.1126/scisignal.aad8581
Fei Xiao*, Jiali Deng*, Yajie Guo, Yuguo Niu, Feixiang Yuan, Junjie Yu, Shanghai Chen, and Feifan Guo†
Key Laboratory of Nutrition and Metabolism, Institute for Nutritional Sciences, Shanghai Institutes for Biological Sciences, Graduate School of the Chinese Academy of Sciences, Chinese Academy of Sciences, Shanghai 200031, China.
† Corresponding author. Email: ffguo@sibs.ac.cn
* These authors contributed equally to this work.
要約 脂肪肝は、脂質が肝細胞に蓄積した状態で、多くの肝臓疾患の主因である。脂肪肝を特徴とする肝細胞がんの患者では、肝臓の転写共役因子BTG1(B細胞転座遺伝子1)量が減少している。われわれは、肥満の遺伝的モデルであるdb/dbマウスの肝臓で、BTG1 mRNAおよびタンパク質量が減少していることを明らかにした。BTG1過剰発現によりdb/dbマウスの脂肪肝が改善され、BTG1ノックダウンにより野生型マウスに脂肪肝が誘発された。これらの変化と一致する所見として、BTG1は培養肝細胞においてトリグリセリドの蓄積を減少させた。BTG1の過剰発現は、転写活性化因子4(ATF4)の活性を抑えることにより、脂肪酸の合成に関与する酵素であるステアロイル-CoA不飽和化酵素1をコードする遺伝子(SCD1)の発現を阻害した。SCD1ノックダウンは、BTG1ノックダウンによって誘発された野生型マウスの脂肪肝を予防した。逆に、BTG1過剰発現がdb/dbマウスにおける脂肪肝を改善する能力はATF4過剰発現によって消失した。また、BTG1トランスジェニックマウスは、高炭水化物餌によって誘発される脂肪肝に耐性があった。この餌により、哺乳類ラパマイシン標的タンパク質(mTOR)、リボソーム蛋白質S6キナーゼ1(S6K1)およびcAMP 応答配列結合タンパク質(CREB)の関与する経路を通じて、BTG1量が減少した。以上、本研究によって、BTG1には、肝脂質代謝を調節し、特にATF4およびSCD1による脂肪肝の誘発を予防する役割があることが明らかになった。
Citation: F. Xiao, J. Deng, Y. Guo, Y. Niu, F. Yuan, J. Yu, S. Chen, F. Guo, BTG1 ameliorates liver steatosis by decreasing stearoyl-CoA desaturase 1 (SCD1) abundance and altering hepatic lipid metabolism. Sci. Signal. 9, ra50 (2016).