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脂質の跡を追う:複数の細胞膜でPI3K機能によって開始されるシグナル

Following the trail of lipids: Signals initiated by PI3K function at multiple cellular membranes

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Sci. Signal. 17 May 2016:
Vol. 9, Issue 428, pp. re4
DOI: 10.1126/scisignal.aad7885

Adam Naguib

Denali Therapeutics, 201 Gateway Boulevard, South San Francisco, CA 94080, USA. Email: naguib@dnli.com

要約 ホスファチジルイノシトール3,4,5-三リン酸[PtdIns(3,4,5)P3]は、ホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3K)/AKT経路のシグナル伝達の通貨であり、この軸を通る伝達は、このシグナル伝達脂質に依存する。PtdIns (3,4,5) P3の形成は、PI3Kの活性化だけでなく、基質であるPtdIns(4,5)P2(ホスファチジルイノシトール4,5-二リン酸)へのPI3Kの局在と接近によっても決定される。PI3K/AKTを介するシグナル伝達は、PtdIns(3,4,5)P3の脱リン酸化によって拮抗される。これまで一般的に、細胞膜に関連する事象と考えられてきたが、現在では、PtdIns(3,4,5)P3の形成と代謝は複数の膜において異なる速度で発生することが認識されている。ホスファチジルイノシトール脂質キナーゼおよびホスファターゼの活性の調節が、細胞内の複数の部位で経路のシグナル伝達状態を定義する、複雑に組織化された脂質の勾配に関与する。

Citation: A. Naguib, Following the trail of lipids: Signals initiated by PI3K function at multiple cellular membranes. Sci. Signal. 9, re4 (2016).

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2016年5月17日号

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