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CD98hcは腫瘍細胞由来の小型細胞外小胞を介して節外性ナチュラルキラー/T細胞リンパ腫の薬剤耐性を促進する
CD98hc promotes drug resistance in extranodal natural killer/T cell lymphoma through tumor cell-derived small extracellular vesicles
SCIENCE SIGNALING
10 Sep 2024 Vol 17, Issue 853
[DOI: 10.1126/scisignal.adf9388]
Liming Liao1, 2, Ping Yang3, Weilong Zhang3, Shuyu Yu1, 2, Hongmei Jing3, *, Xiaofeng Zheng1, 2, *
- 1 State Key Laboratory of Protein and Plant Gene Research, School of Life Sciences, Peking University, Beijing 100871, China.
- 2 Department of Biochemistry and Molecular Biology, School of Life Sciences, Peking University, Beijing 100871, China.
- 3 Department of Hematology, Lymphoma Research Center, Peking University Third Hospital, Beijing 100191, China.
- * Corresponding author. Email: hongmei_jing@163.com (H.J.); xiaofengz@pku.edu.cn (X.Z.)
Editor's summary
節外性ナチュラルキラー/T細胞リンパ腫(ENKTL)はPEG化アスパラギナーゼ(PEG-asp)により治療されるが、薬剤耐性が高頻度にみられる。Liaoらは、糖タンパク質の輸送を制限することで薬剤耐性を克服できることを見いだした。ユビキチンカルボキシ末端加水分解酵素1(USP1)は転写因子ATF4を安定させ、CD98hcの発現を促進した。マウスにおいて、腫瘍細胞および小型細胞外小胞(sEV)中のCD98hcをノックアウトすると、PEG-asp処理に対する細胞の感受性が高くなり、一方でsEV中にCD98hcが多く含まれる場合はPEG-aspの影響が抑制された。このことは、ENKTL治療としてCD98hc標的化を検討できる可能性を示唆している。—Amy E. Baek
要約
節外性ナチュラルキラー/T細胞リンパ腫(ENKTL)は化学放射線療法後の再発率が高い。薬剤耐性には小型細胞外小胞(sEV)というカーゴが介在している。本稿でわれわれは、腫瘍細胞および血清のsEV中の膜貫通型糖タンパク質CD98hcの存在量が多いことが、ENKTLの進展および薬剤耐性と関連していることを明らかにした。機構的には、ENKTLの一般的な治療薬であるPEG化アスパラギナーゼ(PEG-asp)で処理することで、転写因子ATF4の核への移行が促進され、核内でUSP1によって安定化されてCD98hcの発現が亢進した。培養ヒトNKリンパ腫細胞株、動物モデル、および難治性/再発性ENKTL患者からの試料において、腫瘍細胞由来sEV中で送達されたCD98hcは腫瘍細胞の増殖および薬剤耐性を増強した。さらに、USP1とEV分泌の両方を阻害すると、PEG-aspの細胞毒性が相乗的に増強された。これらのデータは、ENKTLの治療としてCD98hcを標的とすることが、薬剤耐性の克服に有益である可能性を示唆している。