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闘争・逃走反応におけるカルシウムチャネル調節の分子機構
Molecular Mechanism of Calcium Channel Regulation in the Fight-or-Flight Response
Sci. Signal., 28 September 2010
Vol. 3, Issue 141, p. ra70
[DOI: 10.1126/scisignal.2001152]
Matthew D. Fuller1, Michelle A. Emrick1*, Martin Sadilek2, Todd Scheuer1, and William A. Catterall1†
1 Department of Pharmacology, University of Washington, Box 357280, Seattle, WA 98195?7280, USA.
2 Department of Chemistry, Box 351700, University of Washington, Seattle, WA 98195?1700, USA.
* Present address: VLST Corporation, 307 Westlake Avenue North, Seattle, WA 98109, USA.
† To whom correspondence should be addressed. E-mail: wcatt@u.washington.edu
要約:闘争・逃走反応の際には、交感神経系が、βアドレナリン受容体の活性化、アデニル酸シクラーゼ、アデノシン3',5'-一リン酸依存性プロテインキナーゼ[プロテインキナーゼA(PKA)としても知られる]によるリン酸化を介して、CaV1チャネルによって伝導されるL型カルシウムイオン(Ca2+)電流を刺激し、骨格筋と心筋の収縮性を高める。われわれは、非筋細胞において、CaV1.2Δ1800(タンパク質分解によってin vivoでプロセシングを受ける部位で切断された型のチャネル)と、これに非共有結合的に会合している遠位カルボキシ末端ドメイン、補助的なα2δ1およびβ2bサブユニット、Aキナーゼアンカータンパク質15(AKAP15)から成る自己抑制的なシグナル伝達複合体を形成することによって、この心筋CaV1.2チャネルの調節を再構成した。CaV1.2チャネルの活性には、プロテインキナーゼ阻害剤存在下での最低値から、アデニル酸シクラーゼ活性化時の最高値まで、3.6倍の幅があった。非刺激細胞における基底状態のCaV1.2 チャネル活性は、遠位と近位のカルボキシ末端調節ドメインの間の界面に位置する1700位セリンと1704位トレオニンの2つの残基のリン酸化によって調 節された。その一方で、PKAシグナル伝達経路を介するチャネル活性のさらなる刺激には、1700位セリンのリン酸化のみが必要であった。本研究の結果に よって、CaV1.2チャネルの調節に関する概念的枠組みが明確になり、チャネル活性を調節するリン酸化の部位が同定されている。
M. D. Fuller, M. A. Emrick, M. Sadilek, T. Scheuer, W. A. Catterall, Molecular Mechanism of Calcium Channel Regulation in the Fight-or-Flight Response. Sci. Signal. 3, ra70 (2010).