発生生物学
尾の再生とROS

Developmental Biology
A Tail of ROS

Editor's Choice

Sci. Signal., 12 February 2013
Vol. 6, Issue 262, p. ec37
[DOI: 10.1126/scisignal.2004050]

Leslie K. Ferrarelli

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

N. R. Love, Y. Chen, S. Ishibashi, P. Kritsiligkou, R. Lea, Y. Koh, J. L. Gallop, K. Dorey, E. Amaya, Amputation-induced reactive oxygen species are required for successful Xenopus tadpole tail regeneration. Nat. Cell Biol. 15, 222–228 (2013). [PubMed]

アフリカツメガエル(Xenopus)のオタマジャクシはWnt経路を介するシグナル伝達により、その尾を再生することができる。再生中には、活性酸素種(ROS)の生成に関わる多様な遺伝子が発現される。Loveらは、尾の再生にはH2O2が必要であること、また創傷治癒に必要な経路とは別のシグナル伝達カスケードをH2O2が誘導することを認めた。H2O2の蛍光レポーターまたはH2O2-感受性蛍光色素を用いたin vivo解析により、切断後に細胞内H2O2濃度が増加し、切断から1時間以内にピークに達して、尾の再生中も高値を維持することが明らかになった。H2O2の生成は、損傷部位への炎症細胞の動員に先行していた。spib(リンパ球特異的転写因子)を欠損したモルファントのオタマジャクシでは、再生芽組織中の炎症細胞数が対照に比べ減少していたが、細胞内H2O2濃度は対照と同程度であった。このことは、切断誘導性のROSは非炎症細胞によって産生されたことを示唆していた。NADPHオキシダーゼ(NOX)複合体を阻害する化学物質であるジフェニレンヨードニウム(DPI)またはアポシニン(APO)による処理は、抗酸化物質のMCI-186(MCI)で処理した場合に比べ、大きくROS濃度を低下させ、尾の再生を障害し、増殖細胞数を減少させていた。MCI除去後に尾の再生は回復したが、DPIまたはAPOの除去後には回復しなかった。さらに切断で誘導されたWnt–β-カテニンシグナル伝達および下流の転写標的fgf20の発現は、DPI、APO、またはMCIで処理したオタマジャクシの切断後には低下していた。NOX複合体サブユニットcyba(チトクロムb-245αポリペプチド)を欠損したモルファントのオタマジャクシは、DPIまたはAPOで処理したオタマジャクシと同様に、H2O2を生成できず、尾の再生が障害されていた。fgf20を欠損したモルファントのオタマジャクシは切断部位の創傷治癒は可能であったが、十分な尾の再生はできず、軸方向の組織再生に特異的な欠損を示していた。まとめるとこれらの知見は、NOX複合体誘導性のROSシグナル伝達は再生の開始に不可欠であり、Wnt–β-カテニン–fgf20経路を介したシグナル伝達を促進することを示唆している。

L. K. Ferrarelli, A Tail of ROS. Sci. Signal. 6, ec37 (2013).

英文原文をご覧になりたい方はScience Signaling オリジナルサイトをご覧下さい

英語原文を見る

2013年2月12日号

Editor's Choice

発生生物学
尾の再生とROS

Research Article

DNA複製の直接阻害因子としてのHIF-1αの非転写性の役割

ERKを介した線維芽細胞増殖因子受容体1のSer777におけるリン酸化はシグナル伝達を阻害する

Perspectives

ニューロトロフィン前駆体とその抗神経栄養作用

最新のEditor's Choice記事

2018年5月1日号

小胞体ストレスががんを阻害するとき

2018年4月24日号

新たなつながり:ユーイング肉腫の「ドライバー」がそのアキレス腱である

2018年4月17日号

PD-1シグナル伝達を再検討する

2018年4月10日号

新たなつながり:単純なシグナル伝達系の複雑性

2018年4月3日号

新たなつながり:サイトカインは共有することを学ぶ