がん
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Cancer
Branching Out

Editor's Choice

Sci. Signal., 3 September 2013
Vol. 6, Issue 291, p. ec207
[DOI: 10.1126/scisignal.2004690]

Leslie K. Ferrarelli

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

K. Kollmann, G. Heller, C. Schneckenleithner, W. Warsch, R. Scheicher, R. G. Ott, M. Schäfer, S. Fajmann, M. Schlederer, A.-I. Schiefer, U. Reichart, M. Mayerhofer, C. Hoeller, S. Zöchbauer-Müller, D. Kerjaschki, C. Bock, L. Kenner, G. Hoefler, M. Freissmuth, A. R. Green, R. Moriggl, M. Busslinger, M. Malumbres, V. Sexl, A kinase-independent function of CDK6 links the cell cycle to tumor angiogenesis. Cancer Cell 24, 167–181 (2013). [PubMed]

T. Otto, P. Sicinski, The kinase-independent, second life of CDK6 in transcription. Cancer Cell 24, 141–143 (2013). [PubMed]

がんでは、サイクリンおよびサイクリン依存性キナーゼ(CDK)の変異または活性亢進が原因で、細胞周期がしばしば調節解除される(OttoとSicinski参照)。CDK6の存在量は、リンパ腫および白血病で頻繁に増加する。Kollmannらは、CDK6が、キナーゼ機能と無関係に、B細胞およびT細胞の増殖ならびに血管新生を制御する、別の転写経路を活性化することを見出した。CDK6欠損または野生型の、p185BCR-ABL-形質転換プロB細胞またはNPM-ALK+ (ヌクレオホスミンおよび未分化リンパ腫キナーゼの融合産物をコードする)未分化大細胞リンパ腫(ALCL)細胞では、CDK6の過剰発現または触媒作用が不活性な変異体(CDK6-K43M)が細胞増殖を阻害し、ヌードマウスにおける皮下異種移植腫瘍の出現を遅らせた。加えて、野生型または触媒作用が不活性なCDK6の過剰発現は、その阻害因子であるp16INK4aのmRNAおよびタンパク質存在量の増加と相関した。この作用には、サイクリンおよびSTAT3(シグナル伝達兼転写活性化因子3)が必要であった。細胞のp16INK4Aを欠失させると、CDK6過剰発現の抗増殖作用が抑制された。さらに、p16INK4aが欠損したヒトBおよびT細胞性悪性腫瘍の組織アレイでは、p16INK4aが豊富なものと比較して、CDK6の存在量が増加しており、いくつかのALCL由来細胞株がp16INK4aプロモーターのメチル化の増加を示したことから、p16INK4aはCDK6の負のフィードバック標的であるが、リンパ腫ではしばしば転写抑制されることが示唆された。p16INK4aに結合できないCDK6(CDK6-R31C)を過剰発現する細胞では、p16INK4aの発現が誘導されたが、増殖は変化しなかったことから、CDK6およびp16INK4aが、遺伝子およびタンパク質レベルの両方で相互作用し、細胞増殖を抑制することが示された。p16INK4aのプロモーターに結合するのと同様に、CDK6は、血管内皮増殖因子AをコードするVEGFAにも結合する。ヒトALCL組織では、CDK6の存在量は血管密度の増加と相関した。CDK6欠損ALCL 、またはCDK6、CDK6-K43M、ないしCDK6-R31Cを過剰発現しているB細胞に由来するマウス異種移植腫瘍では、血管新生ならびにVEGF-Aの存在量および分泌が増加しており、これには転写因子c-Junが必要であったが、STAT3あるいはサイクリンは必要でなかった。合わせると、これらの結果から、CDK6が抗増殖性または血管新生促進性の異なる転写経路を促進することが示される。

L. K. Ferrarelli, Branching Out. Sci. Signal. 6, ec207 (2013).

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2013年9月3日号

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Research Article

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