生理学
脂肪のリズム

Physiology
Fatty Rhythms

Editor's Choice

Sci. Signal., 29 October 2013
Vol. 6, Issue 299, p. ec258
[DOI: 10.1126/scisignal.2004847]

Leslie K. Ferrarelli

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

S. Liu, J. D. Brown, K. J. Stanya, E. Homan, M. Leidl, K. Inouye, P. Bhargava, M. R. Gangl, L. Dai, B. Hatano, G. S. Hotamisligil, A. Saghatelian, J. Plutzky, C.-H. Lee, A diurnal serum lipid integrates hepatic lipogenesis and peripheral fatty acid use. Nature 502, 550–554 (2013). [PubMed]

D. D. Moore, A metabolic minuet. Nature 502, 454–455 (2013). [PubMed]

われわれが食べる時、カロリーの一部は脂肪に変換され(脂質生成)、それから貯蔵されて、後にエネルギーに使われる。肝臓のペルオキシソーム増殖因子活性化受容体δ(PPARδ)が脂質生成を刺激するのに対し、筋肉のPPARαは脂肪酸の分解を促進する。Liuらは、マウスの脂質代謝産物が肝臓からのシグナルとして働き、筋肉における脂肪の取り込みおよび分解を概日性に刺激することを見出した(Mooreによるcommentaryを参照のこと)。マウスでは、PPARδをコードするPpardの発現が、概日時計タンパク質をコードする遺伝子と共に一日ごとに変動し、マウスの概日周期では摂食期にあたる夜間にピークに達する。日中に限定して給餌すると、Ppard、脂質生成酵素をコードする遺伝子、および時計タンパク質をコードする遺伝子の発現パターンが反転した。野生型マウスと比較して、肝臓特異的な条件付きPpardノックアウト(LPPARDKO)を有するマウスにおけるヒラメ筋の脂肪酸取り込みが暗期に低下したのに対し、肝臓特異的なPPARδ過剰発現は、血清中のトリグリセリドおよび脂肪酸の存在量を減少させ、筋肉中のそれらの存在量および酸化量を増加させた。さらに、野生型マウスから暗期に採取された血清は、培養C2C12筋管の脂質取り込みを促進したが、LPPARDKOマウスから得られた血清は促進しなかったことから、肝臓のPPARδが筋肉における脂肪酸の取り込みおよび代謝を誘導することが示唆される。クラスター分析により野生型マウス血清中の脂質をLPPARDKOマウスのものと比較すると、これらの影響の候補として14の脂質種が同定された。これらのうち、PPARδは、マウスのホスファチジルコリン18:0および18:1[PC(18:0/18:1)]の概日的な生成を制御した。PC(18:0/18:1)を培養筋管に投与あるいはマウスに腹腔内または血管内投与すると、筋肉細胞における脂肪酸取り込みが増加し、マウスでは、血清中の脂肪酸およびトリグリセリド濃度が低下したが、他のPC種を投与してもこれらの効果は認められなかった。PC(18:0/18:1)のこれらの効果は、PPARαをノックダウンした筋管やPparaノックアウトマウスでは消失した。糖尿病性肥満のマウスモデル(db/db)あるいは高脂肪食を与えられた野生型マウスでは、PC(18:0/18:1)産生が低下していた。この脂質を投与すると、両方のマウスにおいて、トリグリセリドおよび脂肪酸の血清濃度ならびに空腹時血糖が低下し、耐糖能およびインスリン抵抗性が改善した。これらの結果から、この肝臓から筋肉への脂質シグナル伝達機構を活性化することは、肥満と糖尿病において有益かもしれないことが示唆される。

L. K. Ferrarelli, Fatty Rhythms. Sci. Signal. 6, ec258 (2013).

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2013年10月29日号

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