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医学
アレルギー感覚は喘息を刺激する

MEDICINE
Allergic sensations fuel asthma

Editor's Choice

Sci. Signal. 28 Jul 2015:
Vol. 8, Issue 387, pp. ec201
DOI: 10.1126/scisignal.aad0767

Leslie K. Ferrarelli

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

S. Talbot, R.-E. E. Abdulnour, P. R. Burkett, S. Lee, S. J. F. Cronin, M. A. Pascal, C. Laedermann, S. L. Foster, J. V. Tran, N. Lai, I. M. Chiu, N. Ghasemlou, M. DiBiase, D. Roberson, C. Von Hehn, B. Agac, O. Haworth, H. Seki, J. M. Penninger, V. K. Kuchroo, B. P. Bean, B. D. Levy, C. J. Woolf, Silencing nociceptor neurons reduces allergic airway inflammation. Neuron 87, 341–354 (2015). [Pubmed]

アレルゲンは気道を収縮させる炎症反応を引き起こし、喘息患者ではこの反応が異常に亢進している。肺の感覚ニューロンは、一過性受容器電位(TRP)チャネル(transient receptor potential channel)であるTRPV1などの侵害受容器の活性化を介して化学的、機械的または熱刺激に反応し、咳嗽などの防御的気道反射を開始させる。Talbotらは、電位依存性ナトリウムチャネルの薬理学的遮断がアレルゲン誘導性喘息を抑制する可能性があることを見いだした。未処理マウスにおけるTRPV1アゴニストであるカプサイシンの鼻腔内滴下は、気管支肺胞液中の神経ペプチドおよび種々の免疫細胞の存在量を増加させた。また、アレルゲンであるオボアルブミンに曝露されたマウスでは、カプサイシンに対する反応が一層亢進していた。オボアルブミン曝露マウスにおいて感覚ニューロンの電位依存性ナトリウムチャネルNav1.8を(コンディショナルノックアウト、またはナトリウムイオンチャネル遮断薬のQX-314の吸入により)遮断したとき、自発運動が亢進し、気管支肺胞液中の神経ペプチドおよび免疫細胞のカプサイシン誘導性の増加が減少し、肺組織の基底膜が菲薄化した。オボアルブミン曝露マウスの気管支肺胞液では、インターロイキン-5(IL-5)などの喘息と関係しているサイトカインも増加しており、さらにQX-314による処理は気管支肺胞液中のIL-5存在量を減少させた。培養系におけるIL-5への曝露は、Nav1.8陽性かつIL-5受容体陽性の肺ニューロンを活性化させた。免疫細胞の1種である肺常在ILC2細胞は、アレルゲンにより活性化され、サイトカインの中でも特にIL-5を産生する。またそれらの細胞は、カプサイシンまたはIL-5で刺激された培養Nav1.8-陽性感覚ニューロンから分泌されるVIPなどの、数種の感覚ニューロン分泌性神経ペプチドに対する受容体も含んでいる。感覚ニューロンのNav1.8チャネルの遮断、またはマウスのQX-314処理は、気管支肺胞液中のILC2細胞の量を減少させ、その活性化を抑制した。オボアルブミン曝露マウスの気管支肺胞液中ではVIPの存在量が増加し、これはQX-314処理により減少した。これらの知見は、Nav1.8-陽性感覚ニューロンおよび免疫細胞が、アレルゲンに応答する気道収縮に寄与する、ニューロンから分泌されるVIPおよびILC2から分泌されるIL-5が関わる炎症性シグナル伝達ループに関与していることを示唆している。

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アレルギー感覚は喘息を刺激する

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