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Orai1 メッセージの選択的翻訳開始から生じる複数の種類のカルシウムチャネル

Multiple types of calcium channels arising from alternative translation initiation of the Orai1 message

Research Article

Sci. Signal. 28 Jul 2015:
Vol. 8, Issue 387, pp. ra74
DOI: 10.1126/scisignal.aaa8323

Pooja N. Desai,1* Xuexin Zhang,2* Shilan Wu,1 Agnes Janoshazi,1 Sunitha Bolimuntha,1 James W. Putney,1† Mohamed Trebak2†

1 Signal Transduction Laboratory, National Institute of Environmental Health Sciences, National Institutes of Health, Department of Health and Human Services, Research Triangle Park, NC 27709, USA.
2 Department of Cellular and Molecular Physiology, Pennsylvania State University College of Medicine, Hershey, PA 17033, USA.

* These authors contributed equally to this work.

Corresponding author. E-mail: putney@niehs.nih.gov (J.W.P.); mtrebak@hmc.psu.edu (M.T.)

要約 Ca2+放出依存性Ca2+(CRAC)チャネルのポア形成サブユニットOrai1は、哺乳類の場合に限り、選択的翻訳開始によって2つの型が存在する。より長い、哺乳類特異的なOrai1αは、保存されたOrai1βの開始部位の上流に63アミノ酸が追加された構成になっており、Orai1βの翻訳はOrai1αの64番目のメチオニンから開始される。Orai1は、3つの異なるCa2+流の生成に関与し、そのうち、IcracIsocの2つはストア感受性である。すなわち、Icracでは、Ca2+感受性タンパク質STIM1(stromal interaction molecule 1、間質相互作用分子1)によってOrai1チャネルが活性化され、Isocでは、Orai1と一過性受容器電位(TRP)ファミリーメンバーのTRPC1(TRP canonical 1)とSTIM1が相互作用する。Orai1は、アラキドン酸(ロイコトリエンC4)によって調節されるIarcの膜孔形成サブユニットでもあり、IarcではOrai1、Orai3、STIM1が相互作用する。われわれは、Orai1の2つの型がCa2+IcracIsocIarcにおいて果たす役割を評価した。そして、IcracIsocではOrai1αとOrai1βはおおむね互換性を示すが、Orai1αのほうがCa2+によってより強く阻害されることを見出した。アラキドン酸によって調節されるIarcでは、哺乳類特異的なOrai1αのみが機能した。このように、Orai1メッセージの選択的翻訳開始によって、シグナル伝達特性と調節特性の異なる少なくとも3種類のCa2+チャネルが生じる。

Citation: P. N. Desai, X. Zhang, S. Wu, A. Janoshazi, S. Bolimuntha, J. W. Putney, M. Trebak, Multiple types of calcium channels arising from alternative translation initiation of the Orai1 message. Sci. Signal. 8, ra74 (2015).

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