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免疫学
メラトニンによる寛解

IMMUNOLOGY
Remission by melatonin

Editor's Choice

Sci. Signal. 29 Sep 2015:
Vol. 8, Issue 396, pp. ec276
DOI: 10.1126/scisignal.aad5266

Leslie K. Ferrarelli

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

M. F. Farez, I. D. Mascanfroni, S. P. Méndez-Huergo, A. Yeste, G. Murugaiyan, L. P. Garo, M. E. Balbuena Aguirre, B. Patel, M. C. Ysrraelit, C. Zhu, V. K. Kuchroo, G. A. Rabinovich, F. J. Quintana, J. Correale, Melatonin contributes to the seasonality of multiple sclerosis relapses. Cell 162, 1338–1352 (2015). [PubMed]

J. S. Lee, D. J. Cua, Melatonin lulling Th17 cells to sleep. Cell 162, 1212–1214 (2015). [PubMed]

多発性硬化症(MS)は、一部の患者で再発と寛解の期間を繰り返す、中枢神経系(CNS)の脱髄性、炎症性の自己免疫疾患である。Farezらは、循環血中のメラトニン存在量の概日変化が介する免疫細胞への影響が、夏にMSが再発する傾向がある原因であろうと考えた(LeeおよびCuaも参照)。再発寛解型MS患者のコホートにおける再発率は、血清メラトニン濃度が最高である冬に最も低かった。血清中のメラトニン濃度は、1型制御性(Tr1)細胞により産生される抗炎症性サイトカインIL-10と正の相関を示し、Tヘルパー17(TH17)細胞により産生される炎症促進性サイトカインIL-17と負の相関を示した。ヒトまたはマウスの培養CD4+T細胞に対するメラトニンまたはメラトニン受容体アゴニストのアゴメラチンの添加は、それぞれへの偏向条件下で培養したとき、IL17の発現およびTH17細胞への分化を抑制し、一方でIL10の発現およびTr1細胞への分化を促進した。マウスMSモデルにおいて、メラトニン投与は自己免疫性脳炎を抑制してTH17細胞数を減少させたが、脾臓、リンパ節およびCNS中に認められるIL-10分泌性T細胞数を増加させた。培養T細胞またはマウスにおいて,種々のメラトニンシグナル伝達経路の構成要素の存在量または活性を操作した結果、メラトニンはその受容体であるMTNR1Aへの結合を介して、T細胞中のキナーゼERK1およびERK2並びに転写リプレッサーであるNFIL3を活性化することが明らかになった。これらは共同して、TH17細胞の分化を支持する転写活性を抑制し、Tr1細胞の分化を支持する転写活性を促進した。これらの所見は、特にMS患者の自然のメラトニン濃度が最低である夏において、メラトニンの補充とTH17細胞標的治療を組み合わせることで、炎症をより効果的に抑制できる可能性を示唆している。

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2015年9月29日号

Editor's Choice

免疫学
メラトニンによる寛解

Research Article

インスリン応答はAktによるTGF-β受容体の細胞表面への送達増強を介してTGF-βシグナル伝達の活性増加を統合する

グルタミン依存性α-ケトグルタル酸産生はヘルパーT1細胞と制御性T細胞の産生バランスを制御する

Perspectives

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