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インスリン応答はAktによるTGF-β受容体の細胞表面への送達増強を介してTGF-βシグナル伝達の活性増加を統合する

The insulin response integrates increased TGF-β signaling through Akt-induced enhancement of cell surface delivery of TGF-β receptors

Research Article

Sci. Signal. 29 Sep 2015:
Vol. 8, Issue 396, pp. ra96
DOI: 10.1126/scisignal.aaa9432

Erine H. Budi, Baby-Periyanayaki Muthusamy, Rik Derynck*

Departments of Cell and Tissue Biology, and Anatomy, Eli and Edythe Broad Center of Regeneration Medicine and Stem Cell Research, University of California at San Francisco, San Francisco, CA 94143-0669, USA.

* Corresponding author. E-mail: rik.derynck@ucsf.edu

要約 細胞表面受容体に結合し刺激するトランスフォーミング増殖因子-β(TGF-β)の活性上昇は、上皮細胞を移動性間葉型へと変化させ、細胞外マトリックスタンパク質の存在量を増加させることにより、癌の進行および線維症に寄与する。細胞表面のTGF-β受容体の存在量は、多くの場合、受容体を有する同じ細胞により産生されるTGF-βに対する細胞の応答性を決定し、そのため自己分泌シグナルとして機能する。われわれは、RabGAP[グアノシントリホスファターゼ(GTPアーゼ)−活性化タンパク質]の一つAS160のAktによるリン酸化が、マウス胚性線維芽細胞およびNMuMG上皮細胞において細胞内貯蔵から細胞膜へのTGF-β受容体の移行を促進することを発見した。その結果、一般的に高血糖症の治療に用いられ、Aktシグナル伝達を活性化するインスリンは、細胞表面のTGF-β受容体の量を増加させ、それによりTGF-β応答性を増強させた。このインスリンによる自己分泌TGF-βシグナル伝達の増加は、NMuMG細胞のインスリン誘導性遺伝子発現応答に寄与し、上皮表現型を減弱させ、移動を促進した。さらに、細胞表面へのTGF-β受容体の送達増加は、インスリンによるTGF-β誘導性遺伝子応答の増加を可能にした。Aktの活性化に応答したTGF-β応答性の増強は、インスリンの生物学的効果、Aktが活性化された癌の進行、および糖尿病における線維症発生率の増加を説明するのに役立つ可能性がある。

Citation: E. H. Budi, B.-P. Muthusamy, R. Derynck, The insulin response integrates increased TGF-β signaling through Akt-induced enhancement of cell surface delivery of TGF-β receptors. Sci. Signal. 8, ra96 (2015).

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