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がん
EGFRは独自の防御を展開する

CANCER
EGFR deploys its own defense

Editor's Choice

Sci. Signal. 13 Oct 2015:
Vol. 8, Issue 398, pp. ec289
DOI: 10.1126/scisignal.aad6019

Leslie K. Ferrarelli

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

Y. Zheng, X. Li, X. Qian, Y. Wang, J.-H. Lee, Y. Xia, D. H. Hawke, G. Zhang, J. Lyu, Z. Lu, Secreted and O-GlcNAcylated MIF binds to the human EGF receptor and inhibits its activation. Nat. Cell Biol. 17, 1348–1355 (2015). [PubMed]

上皮成長因子受容体(EGFR)は、多くのがんにおいて活性化されており、腫瘍増殖を促進する。免疫刺激性サイトカインであるマクロファージ遊走阻止因子(MIF)も、いくつかのがん細胞種において異常に多量に存在するが、腫瘍の進行との関連性については意見が分かれている。Zhengらは、翻訳後修飾型MIFがEGFRに結合し、リガンド誘導性のEGFR活性化を阻害することと、EGFRに活性化変異を有するがんは、MIFの分解を促進することを見出した。類表皮A431がん細胞におけるMIFの過剰発現、または、ヒト細胞から免疫沈降したMIFの培地への添加によって、EGFRとその下流シグナル伝達メディエーターのEGF誘導性リン酸化が阻害された。結合実験では、ヒト細胞から分離したMIFが、直接EGFRに結合し、EGFとの相互作用を阻害するが、細菌から分離したMIFにはそのような阻害作用はみられないことが明らかになった。質量分析では、ヒト細胞から精製したMIFが、O-結合型β-N-アセチルグルコサミン(O-GlcNAc)によって修飾されていることが明らかになった。野生型MIFとは対照的に、O-GlcNAc化欠損MIF変異体は、培養A431またはU87細胞において、EGFRに結合せず、EGFのEGFRとの結合または遊走の誘導を阻害しなかった。同様に、野生型を発現するU87細胞に由来する頭蓋内異種移植片は、変異MIFを発現する細胞に由来する頭蓋内異種移植片と比べて、増殖が大幅に少なかった。しかし、恒常的活性型EGFRvIII変異体を発現するU87細胞に、野生型MIFを過剰発現させても、培養下の遊走と頭蓋内異種移植片の増殖に影響はなかった。EGFRvIIIの発現または長期EGF投与によって、培地に存在するMIF量が低下した(細胞内MIF存在量には影響がなかった)一方、マトリックスメタロプロテアーゼ13(MMP-13)の量が増加した。細胞を薬理学的EGFR阻害剤で前処理すると、EGFに応答したMIF分解とMMP-13分泌の両方が阻害された。細胞をMMP-13の薬理学的阻害剤またはMMP13標的低分子ヘアピン型RNAで前処理した場合には、EGFの存在下で、細胞外MIFの分解とEGFRリン酸化の両方が阻害された。これらの結果から、EGFRに活性化変異を有するがん細胞は、腫瘍微小環境において、阻害剤MIFの破壊を促進すること、また、MMP-13を標的とすることが、EGFRvIII陽性腫瘍の増殖を阻止する新たな治療戦略になる可能性があることが示唆される。

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2015年10月13日号

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がん
EGFRは独自の防御を展開する

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