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ゴルジ体はβ1-アドレナリン作動性シグナル伝達経路のPKAおよびEpac支流により調節される機能的に異なるCa2+ストアである

The Golgi apparatus is a functionally distinct Ca2+ store regulated by the PKA and Epac branches of the β1-adrenergic signaling pathway

Research Article

Sci. Signal. 13 Oct 2015:
Vol. 8, Issue 398, pp. ra101
DOI: 10.1126/scisignal.aaa7677

Zhaokang Yang1,*, Hannah M. Kirton1, David A. MacDougall1, John P. Boyle2, James Deuchars1, Brenda Frater1, Sreenivasan Ponnambalam3, Matthew E. Hardy1, Edward White1, Sarah C. Calaghan1, Chris Peers2, and Derek S. Steele1,*

1 School of Biomedical Sciences, University of Leeds, Leeds LS2 9JT, UK.
2 Leeds Institute of Cardiovascular and Metabolic Medicine, University of Leeds, Leeds LS2 9JT, UK.
3 School of Molecular and Cellular Biology, University of Leeds, Leeds LS2 9JT, UK.

* Corresponding author. E-mail: d.steele@leeds.ac.uk

要約 ゴルジ体からのCa2+の放出は、小胞輸送など細胞小器官の主要な機能を調節する。われわれは、ゴルジ体が初代培養心筋細胞の核近くに由来する長期のCa2+放出イベントの源であることを見出した。ゴルジのCa2+放出は、筋小胞体Ca2+の枯渇による影響を受けず、ゴルジ体の断片化は、筋小胞体の機能に影響を与えことなくゴルジのCa2+放出を消失させ、ゴルジと筋小胞体Ca2+ストアの機能的および空間的独立性を示唆した。β1-アドレナリン受容体刺激は、Rapグアニンヌクレオチド交換因子のEpacファミリーおよびキナーゼPKA(プロテインキナーゼA)を活性化させるセカンドメッセンジャーcAMPの産生を誘導する。PDE3およびPDE4ファミリーを含むホスホジエステラーゼ(PDE)はcAMPを分解する。β1-アドレナリン受容体の活性化は、Epac、PKAおよびキナーゼCaMKIIの活性化を必要とする作用であるゴルジのCa2+放出を刺激した。PDE3あるいはPDE4の阻害は、β1-アドレナリン作動性に誘導されるゴルジのCa2+放出を増強し、ゴルジ体近傍でのcAMPシグナル伝達の限局化と一致した。ゴルジのCa2+放出を刺激する操作は、心筋細胞のゴルジ体から膜表面への血管内皮増殖因子受容体-1(VEGFR-1)の輸送を増加させるように見えた。心不全ラットの心筋細胞では、PDE3およびPDE4の存在量の減少がゴルジのCa2+放出イベントの増加と関連していた。これらのデータは、ゴルジ体がβ1-アドレナリン作動性に刺激されたCa2+シグナル伝達の中心であり、ゴルジのCa2+ストアが心筋細胞の収縮を誘発する筋小胞体および細胞全体のCa2+トランジェントとは独立に機能することを示唆している。

Citation: Z. Yang, H. M. Kirton, D. A. MacDougall, J. P. Boyle, J. Deuchars, B. Frater, S. Ponnambalam, M. E. Hardy, E. White, S. C. Calaghan, C. Peers, D. S. Steele, The Golgi apparatus is a functionally distinct Ca2+ store regulated by the PKA and Epac branches of the β1-adrenergic signaling pathway. Sci. Signal. 8, ra101 (2015).

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