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長鎖RNAの中心にある短いループ

A short loop at the heart of a long RNA

Editor's Choice

Sci. Signal. 18 Oct 2016:
Vol. 9, Issue 450, pp. ec240
DOI: 10.1126/scisignal.aal2098

Alexandra A. Mushegian

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

Z. Xue, S. Hennelly, B. Doyle, A. A. Gulati, I. V. Novikova, K. Y. Sanbonmatsu, L. A. Boyer, A G-rich motif in the lncRNA Braveheart interacts with a zinc-finger transcription factor to specify the cardiovascular lineage. Mol. Cell 64, 37–50 (2016). [PubMed]

F. M. Fazal, H. Y. Chang, lncRNA structure: Message to the heart. Mol. Cell 64, 1–2 (2016). [PubMed]

要約  200以上の塩基対をもちタンパク質をコードしていないRNAとして定義される長鎖非コードRNA(lncRNA)は、多様で組織特異的な役割をもっている。Braveheart(Bvht)によりコードされるlncRNAは心筋系統分化に不可欠である。Xueらは、細胞運命の特定に必要なlncRNA-転写因子の相互作用を明らかにした。著者らは硫酸ジメチル(DMS)および「プライマー伸展による選択的2'ヒドロキシアシル化分析(SHAPE)」を用いて、in vitroで精製したBraveheart転写産物の化学的探査を行い、5' asymmetric G-rich internal loop motif(AGIL)を含む二次構造を明らかにした。マウス胚性幹細胞(mESC)においてCRISPR/Cas9相同組換え修復を用いてこのモチーフ(bvhtdAGIL)内の11-ntを選択的に欠失させたとき、Bvhtあるいは多能性マーカー(Oct4またはNanog)の転写に影響はなく、細胞の形態または分裂に変化はなかった。野生型mESCは、適切な条件下では、心筋細胞の分化の指標である自発的に拍動する胚様体(EB)を形成するか、もしくは神経または内胚葉の運命に向けて誘導されうる。しかしbvhtdAGIL細胞の場合、拍動するEBの割合が顕著に低下し、心筋トロポニンT(cTnT)およびミオシン重鎖をコードする心筋マーカー遺伝子の発現が低下していたが、適切な分化条件下での神経または内胚葉マーカーの誘導は損なわれていなかった。一方、Braveheartの螺旋状の五叉路構造の欠失は、拍動するEBの形成に影響しなかった。これらの結果は、Braveheart AGILのモチーフが心筋細胞の運命の決定に特別に関与していることを示唆していた。マイクロアレイのスクリーニングにおいてBvhtとのAGIL依存性の相互作用を示したタンパク質のうち4種類は、ヒトとマウスの間で保存されていた。このうちの1つが、ヒトとマウスにおいて心臓障害と関係している亜鉛フィンガー転写因子で、グアニンリッチな一本鎖核酸に親和性をもつ、CNBP(別名ZNF9)である。野生型mESCにおいてcnbp(cnbpKOの2つの小さな領域のCRISPR/Cas9を欠失させたとき、cTnT+細胞の割合が高くなり、FLAG標識したCNBPを過剰発現させたときcTnT+細胞の割合が低下した。このことはCNBPが心筋の分化を負に調節することを示唆している。実際、cnbpKO;bvhtdAGILの二重変異は、bvhtdAGILの単一変異の場合に比べcTnT+細胞の割合を増加させた。FazalおよびChangは、この転写抑制の機序が、以前に報告されていたBvhtとポリコーム抑制複合体2との相互作用(これらはAGILの欠失によって影響されなかった)とは異なるらしいと述べている。本研究はlncRNAにおける特定の制御機能の構造的基礎を決定することにより、現在増え続けている、RNA分子が果たしているタンパク質様の機能のリストに、さらに一項目を追加するものである。

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2016年10月18日号

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