sTREM2と神経炎症

sTREM2 and neuroinflammation

Editor's Choice

Sci. Signal. 14 Mar 2017:
Vol. 10, Issue 470,
DOI: 10.1126/scisignal.aan1468

John F. Foley

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

L. Zhong, X.-F. Chen, T. Wang, Z. Wang, C. Liao, Z. Wang, R. Huang, D. Wang, X. Li, L. Wu, L. Jia, H. Zheng, M. Painter, Y. Atagi, C.-C. Liu, Y.-W. Zhang, J. D. Fryer, H. Xu, G. Bu, Soluble TREM2 induces inflammatory responses and enhances microglial survival. J. Exp. Med. 214, 597–607 (2017).  OpenUrl  Abstract/FREE Full Text  Google Scholar

自然免疫受容体TREM2の可溶型は、脳内でミクログリアの生存と炎症反応を促進する。

要約
TREM2(triggering receptor expressed on myeloid cells 2)は、免疫グロブリンファミリーの膜貫通型自然免疫受容体であり、中枢神経系ではミクログリアに存在する。この受容体はまた、タンパク分解により切断され、可溶型(sTREM2)を生成するが、アルツハイマー病(AD)患者の脳脊髄液では、sTREM2の存在量が増加している。さらに、TREM2のR47HおよびR62H変異は、AD発症リスクの統計学的有意な上昇に関連する。Zhongらは、生存を促進するサイトカインGM-GSFが細胞から取り除かれた際に、sTREM2が、アポトーシスを阻害することにより、in vitroでマウスミクログリアの生存を促進することを見出した。sTREM2は、培養ミクログリアにおいて、炎症性サイトカインをコードする遺伝子の発現も促進した。sTREM2がミクログリアの生存を促進する能力は、キナーゼAktによるシグナル伝達に依存した一方、炎症性サイトカインの産生は、転写因子である核内因子κBの活性化に依存した。野生型タンパク質と比較して、R47HおよびR62H TREM2変異タンパク質は、ミクログリアの生存を促進する効果、またはサイトカイン産生を刺激する効果が低かった。最後に、野生型マウスまたはTREM2欠損マウスのいずれかの海馬にsTREM2を投与すると、炎症性サイトカインの産生が刺激され、ミクログリアに活性化と一致する形態的変化が誘導された。総合するとこれらのデータからは、sTREM2がミクログリアの生存と炎症反応を促進することが示されており、sTREM2はAD治療の標的候補となる可能性が示唆される。

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2017年3月14日号

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