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SPPL3に媒介されるADAM10の活性化がメラノサイトの形質転換の重要なステップであることがマルチエピトープ組織解析によって明らかに
Multiepitope tissue analysis reveals SPPL3-mediated ADAM10 activation as a key step in the transformation of melanocytes
Sci. Signal. 14 Mar 2017:
Vol. 10, Issue 470,
DOI: 10.1126/scisignal.aai8288
Christian Ostalecki1,*, Jung-Hyun Lee1,*, Jochen Dindorf1, Lena Collenburg1, Stephan Schierer1, Beate Simon1, Stefan Schliep1, Elisabeth Kremmer2, Gerold Schuler1, and Andreas S. Baur1,†
1 Department of Dermatology, University Hospital Erlangen, Translational Research Center, Schwabachanlage 12, 91054 Erlangen, Germany.
2 Institute of Molecular Immunology, Helmholtz-Zentrum München, Marchioninistraße 25, D-81377 Munich, Germany.
† Corresponding author. Email: andreas.baur@uk-erlangen.de
* These authors contributed equally to this work.
要約
がんの進化は特異的な変異の出現によって特徴づけられるが、そのような変異から翻訳されるタンパク質は、共同して悪性形質転換を誘発しているはずである。われわれは、マルチエピトープリガンド地図作成(MELC)技術を用いた系統的手法によって、患者組織由来の母斑とBRAFV600E陽性表在拡大型黒色腫(SSM)のタンパク質発現プロファイル(PEP)を解析し、主要な形質転換イベントを同定した。母斑とSSMのPEPではもっぱら特異的抗原の存在量が異なったが、母斑に付随するケラチノサイトとメラノーマに付随するケラチノサイトのPEPは形質転換の過程で徐々に変化した。メラノーマ細胞と共培養されたケラチノサイトでも、同様の特徴をもつPEPの段階的な変化がみられた。段階ごとの解析では、BRAFV600E変異体により引き起こされたシグナルペプチドペプチダーゼ様3(SPPL3)によるメタロプロテイナーゼADAM10の活性化が重要な形質転換イベントであることが示された。SPPL3に媒介されるADAM10の活性化は、SPPL3とADAM10のRab4陽性またはRab27陽性エンドソーム区画内への移行を伴っていた。このエンドソームへの移行と、それによるADAM10の活性化は、腫瘍抑制因子PTENの存在によって阻害された。これらの知見は、系統的な組織抗原解析によって全ゲノム解析手法を補完することで、がん発生についてより多くの洞察を得られる可能性があることを示唆している。
Citation: C. Ostalecki, J.-H. Lee, J. Dindorf, L. Collenburg, S. Schierer, B. Simon, S. Schliep,E. Kremmer, G. Schuler, A. S. Baur, Multiepitope tissue analysis reveals SPPL3-mediatedADAM10 activation as a key step in the transformation of melanocytes. Sci. Signal. 10, eaai8288 (2017).