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B細胞における受容体の協同
Receptor cooperation in B cells
Sci. Signal. 23 May 2017:
Vol. 10, Issue 480, eaan7951
DOI: 10.1126/scisignal.aan7951
John F. Foley
Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA
E. Schweighoffer, J. Nys, L. Vanes, N. Smithers, V. L. J. Tybulewicz, TLR4 signals in B lymphocytes are transduced via the B cell antigen receptor and SYK. J. Exp. Med. 214, 1269-1280 (2017).
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TLR4によって刺激されるB細胞の活性化は、チロシンキナーゼSykによって媒介され、B細胞受容体に依存する。
要約
自然免疫細胞では、Toll様受容体(TLR)ファミリーに属する受容体が微生物産物を認識し、免疫応答の一環としてサイトカイン産生を促進する。しかし、B細胞でTLRが活性化されると、B細胞の増殖と抗体分泌細胞への分化が促進される。B細胞の増殖と分化は、抗原によるB細胞受容体(BCR)の活性化によっても促進され、BCRからのシグナルはチロシンキナーゼSykを介して伝達される。Schweighofferらは、Sykが、TLR4によって刺激されるB細胞の活性化を媒介するためにも必要であることを見出した。野生型の細胞と比べて、Syk欠損型マウスのB細胞では、TLR4アゴニストのリポ多糖(LPS)に応答した生存と増殖が低下していた。また、Sykは、LPSに刺激されてB細胞からサイトカインのインターロイキン10(IL-10)と腫瘍壊死因子(TNF)が分泌されるためにも必要であった。LPSは、野生型B細胞においてSykのリン酸化(ひいては活性化)を促進したが、これにはBCRが必要であった。実のところ、野生型B細胞に比べて、BCR欠損型B細胞では、LPSに応答した増殖が著しく低下しており、活性化マーカーの細胞表面での発現も減少していた。TLR4会合アダプター分子MyD88を欠失させても、Sykのリン酸化を促進するLPSの能力には影響しなかったが、LPSによって誘発される転写因子の核因子κB(NF-κB)の活性化は阻害された。まとめると、これらのデータは、B細胞ではTLR4シグナル伝達によって2つの別々の経路が活性化されることを示している。1つ目の経路には、MyD88に依存したNF-κBの活性化が関与する。一方、2つ目は、BCRに依存してSykの刺激に至る経路であり、B細胞の活性化に必要であった。これら2つの受容体がB細胞において協同し、Sykを活性化する機構についてのさらなる洞察は、依然として明らかにされていない。