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心臓リアノジン受容体のリン酸化およびFKBP12.6によるアロステリズムのクライオEMベースモデル

A cryo-EM–based model of phosphorylation- and FKBP12.6-mediated allosterism of the cardiac ryanodine receptor

Research Article

Sci. Signal. 23 May 2017:
Vol. 10, Issue 480, eaai8842
DOI: 10.1126/scisignal.aai8842

Sonali Dhindwal1,*,†, Joshua Lobo1,*,‡, Vanessa Cabra1, Demetrio J. Santiago1,§, Ashok R. Nayak1, Kelly Dryden2, and Montserrat Samsó1,¶

1 Department of Physiology and Biophysics, Virginia Commonwealth University, Richmond, VA 23298, USA.
2 University of Virginia, Charlottesville, VA 22903, USA.

¶ Corresponding author. Email: montserrat.samso@vcuhealth.org

* These authors contributed equally to this work.

† Present address: Department of Chemistry and Biochemistry, The City College of New York, New York, NY 10031, USA.

‡ Present address: Hormel Institute, University of Minnesota, Austin, MN 55912, USA.

§ Present address: Molecular Cardiology, Centro Nacional de Investigaciones Cardiovasculares Carlos III, 28029 Madrid, Spain.

要約
2型リアノジン受容体(RyR2)は、筋小胞体から細胞質にカルシウムを放出することにより心筋収縮を引き起こす重要な役割を果たすカルシウムチャネルである。いくつかの心筋症は、RyR2の異常な機能と関連している。われわれは、クライオ電子顕微鏡法を用いて11.8 Åの分解能で、調節タンパク質FKBP12.6と複合体化した閉鎖状態のウサギRyR2の三次元構造を決定し、RyR2の原子モデルを構築した。データセットの不均一性によって、われわれがP2ドメインのリン酸化度合に関連すると提唱したRyR2の2つのコンフォメーションが明らかになった。より柔軟なコンフォメーションは、リン酸化されたP2ドメインをもつRyR2に対応する可能性があるため、リン酸化は、開口状態への移行の際に必要となるエネルギーがより少ないコンフォメーションにRyR2を設定していることを示唆する。心筋由来のRyR2と骨格筋由来のRyR1の比較は、両者に、特にクランプドメインを形成するヘリカルドメイン2(HD2)構造のなかに、かなりの構造差異があることを示した。それはジヒドロピリジン受容体とRyR1に隣接するRyRとの四次相互作用に関与するが、RyR2に隣接するものには関与しなかった。RyR2のHD2ドメインの剛性は、RyR2を閉鎖状態に安定化するリガンドであるFKBP12.6の結合によって増強された。これらの結果は、RyRアイソフォームの活性化およびオリゴマー化の異なる機構の分子的基盤を解明するのに役立ち、他の組織のRyR複合体に拡張しうる。

Citation: S. Dhindwal, J. Lobo, V. Cabra, D. J. Santiago, A. R. Nayak, K. Dryden, M. Samsó, A cryo-EM-based model of phosphorylation- and FKBP12.6-mediated allosterism of the cardiac ryanodine receptor. Sci. Signal. 10, eaai8842 (2017).

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