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エピジェネティックなメラノーマの誘導

Epigenetic ignition of melanoma

Editor's Choice

Sci. Signal. 13 Mar 2018:
Vol. 11, Issue 521, eaat5334
DOI: 10.1126/scisignal.aat5334

Leslie K. Ferrarelli

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

Y. Yu, K. Schleich, B. Yue, S. Ji, P. Lohneis, K. Kemper, M. S. Silvis, N. Qutob, E. van Rooijen, M. Werner-Klein, L. Li, D.Dhawan, S. Meierjohann, M. Reimann, A. Elkahloun, S. Treitschke, B. Dörken, C. Speck, F. A. Mallette, L. I. Zon, S. L.Holmen, D. S. Peeper, Y. Samuels, C. A. Schmitt, S. Lee, Targeting the senescence-overriding cooperative activity of structurally unrelated H3K9 demethylases in melanoma. Cancer Cell 33, 322-336.e8 (2018). Google Scholar

V. Wagner, J. Gil, An epigenetic switch: From senescent melanocytes to malignant melanoma (and back). Cancer Cell 33, 162-163 (2018). Google Scholar

ヒストン脱メチル化酵素であるLSD1およびJMJD2Cにより、前がん性メラノサイトはがん遺伝子誘導性老化から逃れ、侵襲性メラノーマを形成する。

要約

RASまたはキナーゼBRAFの変異は、種々のがん、とくにメラノーマの増殖を促進する。しかし、このような発がん性変異は前がん細胞において、色素性母斑(一般に「ほくろ」と呼ばれる)で認められるような細胞老化と呼ばれる安定した細胞周期停止の状態も誘導し、それによりその増殖を制限している。発がん性RAS/BRAFが誘導する老化は、細胞増殖-関連遺伝子のプロモーターのメチル化を介するが、一部の細胞は最終的に老化を圧倒してメラノーマが形成される。この母斑からメラノーマへの転換の初期かつ重要な機構を特定することで、臨床医は、悪性腫瘍の増殖の早期診断およびリスクがある患者のモニタリングを、より効果的にできるようになる。Yuらは、色素性母斑における老化からの回避は、2つのヒストン脱メチル化酵素であるLSD1およびJMJD2Cの発現により決定的にもたらされていることを見出した。メラノーマの患者標本および細胞株のサブセットに認められるような、LSD1またはJMJD2C量の増加は、それらの遺伝子プロモーターの脱メチル化と相関し、RAS/BRAF変異を発現している細胞の細胞周期リエントリおよび増殖を促すのみならず、マウスにおいて転移したより悪性度の高い腫瘍の増殖も促進していた。培養系およびマウスモデルにおいて、LSD1またはJMJD2のファミリーメンバーのノックダウンまたは薬理学的阻害は、増殖しているメラノーマ細胞の老化へのリエントリを誘導した。他のがん種でも、この両方の脱メチル化酵素は過剰発現している。これらの所見は、細胞周期のシグナル伝達およびがんの発生の制御にエピジェネティックスが重要な役割を果たすことを実証し、したがって、がん治療にエピジェネティック修飾因子を標的とするという見通しを強化している(WagnerおよびGilの論文参照)。

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2018年3月13日号

Editor's Choice

エピジェネティックなメラノーマの誘導

Research Article

ランゲルハンス細胞のp38αシグナル伝達はIL-17産生T細胞の発生と乾癬状皮膚炎の発症を促進する

Skp2依存性のAKT再活性化がPI3K阻害剤耐性を促進する

非接着性ヒト好中球による走化性偽足の伸長はカルシウムバーストを必要とせず誘導もしない

CD4+T細胞におけるTSLPシグナル伝達は病原性Tヘルパー2細胞状態をプログラムする

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