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新たなつながり:有糸分裂の制御におけるキナーゼとホスファターゼ

New connections: Kinases and phosphatases in control of mitosis

Editor's Choice

Sci. Signal. 15 May 2018:
Vol. 11, Issue 530, eaau0696
DOI: 10.1126/scisignal.aau0696

Leslie K. Ferrarelli

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

R. A. Romanov, R. S. Lasher, B. High, L. E. Savidge, A. Lawson, O. A. Rogachevskaja, H. Zhao, V. V. Rogachevsky, M. F.Bystrova, G. D. Churbanov, I. Adameyko, T. Harkany, R. Yang, G. J. Kidd, P. Marambaud, J. C. Kinnamon, S. S.Kolesnikov, T. E. Finger, Chemical synapses without synaptic vesicles: Purinergic neurotransmission through a CALHM1 channel-mitochondrial signaling complex. Sci. Signal. 11, eaao1815 (2018). Abstract/FREE Full Text

D. Caron, D. P. Byrne, P. Thebault, D. Soulet, C. R. Landry, P. A. Eyers, S. Elowe, Mitotic phosphotyrosine network analysis reveals that tyrosine phosphorylation regulates Polo-like kinase 1 (PLK1). Sci. Signal. 9, rs14 (2016). Abstract/FREE Full Text

本誌今週号に掲載されている2本の研究は、細胞周期が進行する間のキナーゼとホスファターゼの協調的調節を明らかにしている。

要約

有糸分裂とは、細胞周期進行の間の細胞成分の正確な分裂を可能にする、広汎に制御され、時間的に連動したプロセスである。有糸分裂の制御不能により、がんやその他の疾患に至ることがある。本誌今週号掲載の2報の論文は、有糸分裂の開始と終了を誘導する重要なキナーゼとホスファターゼの間の複雑な相互関係に関して、われわれの知識を広げてくれるものである。Polo様キナーゼ1(Plk1)は、キナーゼであるオーロラAによって直接的に、またその他の種々のキナーゼによって間接的に活性化される、セリン-スレオニンキナーゼである。さらにPlk1はオーロラAの活性化にも重要なようであるが、その理由は謎であった。Kettenbach らは有糸分裂時のPlk1タンパク質相互作用ネットワークを分析し、複数のタンパク質は、Plk1基質ターゲッティングのリン酸化依存性が阻害されたときでも、Plk1との相互作用を続けることを見出した。その1つがプロテインホスファターゼのPP6であった。綿密な生化学的解析から、Plk1はPP6をリン酸化して阻害し、これがPP6によるオーロラAの抑制性脱リン酸化を阻止し、それによって有糸分裂開始時のオーロラAの活性化を可能にし、有糸分裂終了時にPlk1分解がフィードバックループを遮断するまで、有糸分裂進行の間にその活性を増強することが明らかにされた。さらに、オーロラキナーゼはプロテインホスファターゼを標的にしているようである。Nasaらは、オーロラBがPP1の調節サブユニットを標的にすることでこれを阻害することを見出している。PP1はホロ酵素として働き、この形成は調節サブユニットにあるRVxFモチーフを介している。この「x」はセリンまたはスレオニンである。オーロラBはこれら保存されているRVxFモチーフをリン酸化して、有糸分裂時のPP1ホロ酵素の形成を抑制した。これらの知見は全体として、有糸分裂進行時のリン酸化と脱リン酸化の陰陽における微調整を明らかにしている。
Plk1、オーロラ、およびその他多くの有糸分裂キナーゼはセリン-スレオニンリン酸化を通じ、その基質によって活性化され、さらに入れ替わって基質を制御している。ただしCaron らはArchivesにおいて、有糸分裂に関連したホスホチロシンネットワークを検討し、Plk1がチロシン残基のリン酸化により阻害されることを明らかにしている。それらのデータは、有糸分裂時のチロシンリン酸化は以前認識されていたよりも広く行われていることを示唆し、有糸分裂を制御する翻訳後の調節性イベントの詳細について、学ぶべきことが非常に多いということを示している。これらの論文は全体として、生理機能と疾患における細胞周期制御のさらなる検討を進めるための、豊富なデータを提供している。

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2018年5月15日号

Editor's Choice

新たなつながり:有糸分裂の制御におけるキナーゼとホスファターゼ

Research Article

ネットワークダイナミクスの網羅的評価により、キナーゼPlk1はホスファターゼPP6を阻害してAurora A活性を促進することが明らかに

Aurora BはPP1調節タンパク質の保存されたPP1結合RVxFモチーフをリン酸化することにより有糸分裂時のPP1機能に対抗する

DGKζ-FoxO-ユビキチン-タンパク分解軸が骨格筋リモデリング時の線維サイズを調節する

IRE1αは特定のマイクロRNAのプロセシングと分解を促進することにより脂肪肝を予防する

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