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AMP化のためのキナーゼフォールド内の反転

Flipping in a kinase fold for AMPylation

Editor's Choice

Sci. Signal. 23 Oct 2018:
Vol. 11, Issue 553, eaav7869
DOI: 10.1126/scisignal.aav7869

Wei Wong

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

A. Sreelatha, S. S. Yee, V. A. Lopez, B. C. Park, L. N. Kinch, S. Pilch, K. A. Servage, J. Zhang, J. Jiou, M.Karasiewicz-Urbańska, M. Łobocka, N. V. Grishin, K. Orth, R. Kucharczyk, K. Pawłowski, D. R. Tomchick, V. S. Tagliabracci, Protein AMPylation by an evolutionarily conserved pseudokinase. Cell 175, 809-821.e19(2018). Google Scholar

J. B. Sheetz, M. A. Lemmon, Flipping ATP to AMPlify kinase functions. Cell 175, 641-642 (2018). Google Scholar

偽キナーゼであるSelOは,活性部位においてATPの方向が反転しているため、リン酸化ではなくAMP化を媒介している

要約

進化的に保存されているセレノプロテイン-O(SelO)は、触媒ループ中にアスパラギン酸をもたないことから偽キナーゼであると予想されている。このヒト型には、セレン含有アミノ酸であるセレノシステイン(Sec)が組み込まれているが、一部のホモログではその代わりにシステインが含まれている。非加水解分解性ATP誘導体に結合した植物病原体由来SelOホモログの結晶構造をもとに、Sreelathaらは、SelOがプロテインキナーゼ様のフォールド構造をとっていることを明らかにした(Sheetz and Lemmonの論文も参照)。しかし、従来型プロテインキナーゼにおけるその位置と比べ、ATP誘導体はSelO活性部位中で反転し、γ-リン酸基(通常はキナーゼによってタンパク質基質に転移される)がキナーゼドメイン中に埋もれていた。SelOはリン酸化を媒介せず、アデノシン一リン酸の形としてタンパク質基質へのATPα-リン酸基の転移が関与する翻訳後修飾である、AMP化を媒介していた。構造解析および変異解析から、Asp262は、キナーゼの触媒ループに認められるアスパラギン酸を置換したことが示された。大腸菌(Escherichia coli)のSelOは、酸化条件下ではそのAMP化活性に必要な細胞内ジスルフィド結合を形成し、これが酸化的リン酸化(SelOのミトコンドリアへの局在化に一致する)および酸化還元ホメオスタシスに働くタンパク質をAMP化していた。酸化ストレスを誘導する非発酵性炭素源上で増殖させた出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)では、SelOタンパク質の存在量は増加していた。反対に、SelOを欠損している出芽酵母は野生型株に比べ、酸化ストレスを引き起こす化学物質に対して感受性が高かった。AMP化は、S-グルタチオン付加(グルタチオンがシステイン残基に転移する翻訳後修飾)を反転させる酵素であるグルタレドキシンの活性を阻害した。大腸菌または酵母中のSelOの欠損により、S-グルタチオン付加は減少し、特に、この翻訳後修飾を高めると予想される酸化条件下で顕著であった。このようにSelOはプロテインキナーゼのフォールドを利用して、リン酸化ではなくAMP化を媒介している。

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