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ERKシグナル伝達に圧力をかける

Putting the squeeze on ERK signaling

Editor's Choice

Sci. Signal. 22 Jan 2019:
Vol. 12, Issue 565, eaaw6857
DOI: 10.1126/scisignal.aaw6857

Annalisa M. VanHook

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

E. Moreno, L. Valon, F. Levillayer, R. Levayer, Competition for space induces cell elimination through compaction-driven ERK downregulation. Curr. Biol. 29, 23-34.e8 (2019). Google Scholar

細胞の圧縮によってERK活性化が低下し、上皮細胞の除去が誘導される。

要約

損傷または感染を受けた上皮細胞は上皮層から押し出され、アポトーシスを起こす。カスパーゼ活性化がこれに先行し、押し出しに必要とされる。この過程は、上皮が混雑したときに余分な細胞を除去することによって、組織恒常性にも寄与する。一例として、キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)における発生中の蛹の胸背板(成虫の胸部になる)正中部が挙げられる。Morenoらは、カスパーゼの上流で作用するアポトーシス促進性タンパク質Hidが、胸背板正中部での細胞押し出しに必要であることを見出した。低分子GTPaseのRasおよびキナーゼのRafを介する、上皮増殖因子受容体(EGFR)から細胞外シグナル制御キナーゼ(ERK)へのシグナル伝達は、hid 発現を阻害することによって、胸背板における細胞生存を促進した。細胞が密集し、押し出し事象が集中する正中部では、胸背板のそれ以外の部位と比べて、ERK活性化が低下した。ERKシグナル伝達量に組織変形の程度との相関が認められ、伸展部位ではERK活性が高く、圧縮部位ではERK活性が低かった。上皮の表面張力を低下させる、または圧縮を増加させる、異なる種類のレーザー創傷により、それぞれERK活性が上昇または低下した。異常増殖を刺激する活性化型Ras(RasV12)を発現するクローン間で高度に圧縮された細胞においても、ERK活性化が低下した。圧縮誘導性のERK阻害および細胞除去に分泌因子は関与しなかったが、分泌型EGFRリガンドであるSpitzによってERK活性化を刺激すると、圧縮誘導性の細胞除去が防止され、RasV12クローンの増殖が遅延した。したがって、ERK活性の低下は、機械力が上皮細胞の除去を促進するための機構であり、Ras誘導性上皮がんの増殖に、周囲組織におけるERK活性化の低下が関与している可能性が示唆される。

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