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チロシンキナーゼシグナル伝達の系統的解析からHER2陽性乳がんにおける共通の適応応答プログラムが明らかに

Systemic analysis of tyrosine kinase signaling reveals a common adaptive response program in a HER2-positive breast cancer

Research Resources

Sci. Signal. 22 Jan 2019:
Vol. 12, Issue 565, eaau2875
DOI: 10.1126/scisignal.aau2875

Martin Schwill1, Rastislav Tamaskovic1, Aaron S. Gajadhar2, Florian Kast1, Forest M. White2, and Andreas Plückthun1,*

1 Department of Biochemistry, University of Zurich, Winterthurerstr. 190, 8057 Zurich, Switzerland.
2 Department of Biological Engineering, Koch Institute for Integrative Cancer Research, Center for Precision Cancer Medicine, Massachusetts Institute of Technology, Cambridge, MA 02139, USA.

* Corresponding author. Email: plueckthun@bioc.uzh.ch

要約

細胞の増殖と生存を支持する薬物誘導性の補償シグナル伝達およびその後のシグナル伝達経路の再構成は、腫瘍における獲得性薬剤耐性の発現を促進する。今回われわれは、ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)を標的とする薬物、具体的には、HER2過剰発現がんにおいて一時的な細胞周期停止のみを誘導する薬物、あるいはアポトーシスを誘導する薬物により個別に処理し、がん細胞における適応キナーゼ応答の解析に取り組んだ。われわれはタンデム質量タグ液体クロマトグラフィー/タンデム質量分析(TMT LC-MS/MS)を用い、アイソバリックタグ標識により、トラスツズマブ、ARRY380、その併用、並びにバイパラトピックでHER2を標的とする人工アンキリンリピートタンパク質(DARPin、具体的には6L1G)を比較し、リン酸化プロテオームを数値化した。その結果、非アポトーシス性の処理後に持続的リン酸化チロシンペプチドの特異的なシグネチャを見出し、これを、異なる処理により誘導されるがん細胞の運命の識別に使用した。次に、処理したセリン/スレオニンキナーゼおよびチロシンキナーゼの活性化を、ベイトペプチドチップアレイを用いて分析し、それらに対応する活性型キナーゼを予測した。システムワイドな複合解析を通じて、接着斑キナーゼ(FAK1)、プロテインキナーゼC-δ(PRKCD)およびエフリン(EPH)ファミリー受容体の活性化に関与する、共通の適応キナーゼ応答プログラムを同定した。これらの所見により、HER2標的療法に対する適応耐性を阻止するための標的候補が解明される。

Citation: M. Schwill, R. Tamaskovic, A. S. Gajadhar, F. Kast, F. M. White, A. Plückthun, Systemic analysis of tyrosine kinase signaling reveals a common adaptive response program in a HER2- positive breast cancer. Sci. Signal. 12, eaau2875 (2019).

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