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暗いリン酸化プロテオームを照らす
Illuminating the dark phosphoproteome
Sci. Signal. 22 Jan 2019:
Vol. 12, Issue 565, eaau8645
DOI: 10.1126/scisignal.aau8645
Elise J. Needham1,2, Benjamin L. Parker1,2, Timur Burykin2, David E. James1,2,3,*, and Sean J. Humphrey1,2,*
1 School of Life and Environmental Sciences, University of Sydney, Sydney, NSW 2006, Australia.
2 Charles Perkins Centre, University of Sydney, Sydney, NSW 2006, Australia.
3 Sydney Medical School, University of Sydney, Sydney, NSW 2006, Australia.
* Corresponding author. Email: sean.humphrey@sydney.edu.au (S.J.H.); david.james@sydney.edu.au (D.E.J.)
要約
タンパク質リン酸化は、タンパク質機能および生物学的結果の主要な調節因子である。これは機能的生化学実験を通して最初に認識され、そして過去10年間で、質量分析における大きな技術的進歩により、網羅的規模でのタンパク質リン酸化の研究が可能になった。この急速に成長しているリン酸化プロテオミクスの分野は、ヒト細胞において100,000を超える異なるリン酸化事象が起こり、それがあらゆるタンパク質の機能に影響を与える可能性があることを明らかにした。リン酸化プロテオミクスは、新たな下流の基質および生物学を明らかにすることにより、最もよく特徴付けられているプロテインキナーゼに関してでさえ、その機能の理解を向上させた。しかしながら、現在の生化学的および生物情報学的アプローチは、リン酸化プロテオームの5%以下についてキナーゼを同定しただけであり、リン酸部位の機能的帰属に関しては、ほとんど無視できるほどである。特に、キナーゼとその基質との間の関係についてのわれわれの理解は、現在キナーゼの上位20%に割り当てられているリン酸化部位のほぼ90%で、べき乗則分布に従っている。さらに、150を超えるキナーゼは、一つの基質も知られていない。生物医学研究を支配する少数のキナーゼにもかかわらず、キナーゼに割り当てられた基質の数は、病原性ヒト突然変異の有病率およびマウスモデルの表現型により決定されるように、疾患の関連性と相関しない。すべてのキナーゼによって標的とされる基質についてのわれわれの理解を改善し、リン酸化プロテオームに機能的に注釈をつけることは広く有益であろう。リン酸化プロテオミクス技術の進歩は、機能的スクリーニング法と組み合わせて、リン酸化プロテオーム全体の結合性および機能性を明らかにすることを実現可能にし、新しい生物学、治療標的、およびおそらく診断学を発見するための大きな機会を提供するであろう。
Citation: E. J. Needham, B. L. Parker, T. Burykin, D. E. James, S. J. Humphrey, Illuminating the dark phosphoproteome. Sci. Signal. 12, eaau8645 (2019).