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細菌の多様なヌクレオチドシグナル

Diverse bacterial nucleotide signals

Editor's Choice

Sci. Signal. 19 Mar 2019:
Vol. 12, Issue 573, eaax3389
DOI: 10.1126/scisignal.aax3389

John F. Foley

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

A. T. Whiteley, J. B. Eaglesham, C. C. de Oliveira Mann, B. R. Morehouse, B. Lowey, E. A. Nieminen, O.Danilchanka, D. S. King, A. S. Y. Lee, J. J. Mekalanos, P. J. Kranzusch, Bacterial cGAS-like enzymes synthesize diverse nucleotide signals. Nature 567, 194-199 (2019).
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細菌酵素は別個の宿主細胞受容体を活性化する多種多様な環状ヌクレオチドを合成する。

要約

細菌において、環状ジヌクレオチド(CDN)は細菌の恒常性と病原性に関して重要な役割を果たし、感染時にはパターン認識受容体によって検出されて免疫反応を引き起こす。この、細菌のCDNは、プリンヌクレオチドのみから生成されるものと考えられていた。Whiteleyらは大腸菌(Escherichia coli)において、プリンとピリミジンの両方を含むハイブリッドCDNである環状UMP-AMP(cUMP-AMP)を合成するジヌクレオチドシクラーゼCdnEを発見した。CdnEと、コレラ菌(Vibrio cholerae)由来のCdnEホモログであるDncVは、センサーSTINGに結合して自然免疫反応を誘導するCDNであるcGAMPを合成する哺乳類酵素cGASと構造的に相同である。著者らは、活性部位を形成する共通アミノ酸配列を同定したうえで、これらの酵素をcGAS/DncV様ヌクレオチジルトランスフェラーゼ(CD-NTase)として分類した。CdnEのAsn166を変異させると、cUMP-AMPの代わりにc-di-AMPを産生する変異型酵素になったことから、この部位が生成物の特異性を決定するうえで重要な役割を担うことが示された。HEK 293T細胞を用いたレポーターアッセイでは、ハイブリッドジヌクレオチドであるcUMP-AMPはSTINGには検出されないが、CDNセンサーRECON(NF-κBを調節する還元酵素)には検出されることが示された。66種類の異なるCD-NTaseを対象としたバイオインフォマティクス解析と生化学的スクリーニングを組み合わせることで、著者らは7つのプリンCDN、ピリミジンCDN、プリン‐ピリミジンハイブリッドCDNを同定した。さらに、CD-NTaseによる生成物のより詳細な解析によって、これまで知られていなかった環状トリヌクレオチドである環状AMP-AMP-GMP(cAAG)が同定された。このcAAGは、STINGには検出されないが、RECONには検出された。cAAGと結合したRECONの構造解析では、結合部位内の保存された残基であるGlu28がcAAGの3番目のグアニン塩基と接触していたことから、細菌種のCDNを検出するためにGlu28が進化してきた可能性が示唆された。まとめると、これらの知見は細菌によって産生される多種多様なヌクレオチドシグナル伝達分子に光を当てるものであり、一部のヌクレオチドシグナル伝達分子はSTINGに依存せずに自然免疫反応を引き起こすほか、宿主病原体相互作用を調節している可能性もある。

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2019年3月19日号

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