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FGFR阻害剤が核内PTENに到達する

FGFR inhibitors get to nuclear PTEN

Editor's Choice

Sci. Signal. 16 Apr 2019:
Vol. 12, Issue 577, eaax6492
DOI: 10.1126/scisignal.aax6492

Leslie K. Ferrarelli

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

J. Ma, J. A. Benitez, J. Li, S. Miki, C. Ponte de Albuquerque, T. Galatro, L. Orellana, C. Zanca, R. Reed, A. Boyer,T. Koga, N. M. Varki, T. R. Fenton, S. K. Nagahashi Marie, E. Lindahl, T. C. Gahman, A. K. Shiau, H. Zhou, J.DeGroot, E. P. Sulman, W. K. Cavenee, R. D. Kolodner, C. C. Chen, F. B. Furnari, Inhibition of nuclear PTEN tyrosine phosphorylation enhances glioma radiation sensitivity through attenuated DNA repair. Cancer Cell 35,504-518.e7 (2019). Google Scholar

FGFR阻害剤はPTENによって調整されるDNA修復を阻害し、神経膠芽腫において放射線治療を増強する。

要約

ホスファターゼPTENは細胞質内の主要な細胞増殖経路の活性を抑制する。そのため、PTENの欠如または機能的欠損は腫瘍増殖に関連する。しかし、PTENは核にも存在し、そこでは、触媒的なホスファターゼ活性に依存しない形で、DNA修復と染色体安定性を促進する。腫瘍細胞においては、PTENの枯渇により、電離放射線(IR)の細胞傷害効果が高まる。しかし、そのような遺伝子またはmRNA標的治療はまだ臨床では利用できない。Maらは、PTENのDNA修復特異的機能を阻害する、代わりの薬理学的方法として、細胞表面受容体チロシンキナーゼFGFR2の薬理学的阻害を見出した。IR曝露により、FGFR2の核移行が促進されたが、不思議なことにリン酸化は促進されなかった。これと同時に、PTENのTyr240 でのリン酸化(おそらく直接的にFGFR2による)が起こり、コンホメーション変化が誘導され、最初にKi-67と、次にクロマチンと結合することが可能になった。クロマチンに結合したPTEN/Ki-67複合体が続いて、重要なDNA修復因子Rad51を動員した。これにより、IRに誘発されたDNA損傷の修復が進み、その結果、神経膠芽腫(GBM)細胞の生存が促進された。肺がんに対して臨床試験が行われているFGFR阻害剤AZD4547は、血液脳関門を通過する薬剤であり、このAZD4547によってFGFR2を阻害すると、PTENの上記部位でのリン酸化と、その結果生じるクロマチン相互作用およびDNA修復機能が阻害された。AZD4547は、後のIR、DNA損傷を誘発する化学療法、あるいはEGFR阻害剤(同様にDNA損傷を引き起こしうる)の効果を増強し、同所移植担がんマウスの生存期間を延長し、明らかな臓器特異的または全身毒性を示さなかったことから、この方法によって、患者におけるDNA損傷に関連する様々な治療の効果が高まる可能性が示唆された。

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2019年4月16日号

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