TAMはMLKLを標的にする

TAMs target MLKL

Editor's Choice

Sci. Signal. 25 Jun 2019:
Vol. 12, Issue 587, eaay4753
DOI: 10.1126/scisignal.aay4753

John F. Foley

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

A. Najafov, A. K. Mookhtiar, H. S. Luu, A. Ordureau, H. Pan, P. P. Amin, Y. Li, Q. Lu, J. Yuan, TAM kinases promote necroptosis by regulating oligomerization of MLKL. Mol. Cell 10.1016/j.molcel.2019.05.022 (2019). Google Scholar

TAMファミリーキナーゼは、偽キナーゼMLKLのリン酸化とオリゴマー化を刺激することによって、ネクロトーシスを促進する。

要約

ネクロトーシスは、腫瘍壊死因子受容体(TNFR)やその他のデスレセプターの下流のシグナル伝達に依存する、壊死型の細胞死である。TNF-αに応答して、受容体共役タンパク質キナーゼ1(RIPK1)が、ネクロソームと呼ばれる複合体においてRIPK3に結合し、活性化させる。活性化されたRIPK3が、偽キナーゼの混合系統キナーゼドメイン様(mixed lineage kinase domain-like:MLKL)をリン酸化して活性化させ、MLKLが細胞膜に移動してオリゴマー化し、細孔を形成して細胞溶解を引き起こす。Najafovらは、受容体チロシンキナーゼのTAM(Tyro3、Axl、Mer)ファミリーに属するTyro3が欠損すると、TNF-αを含む薬剤の混合物(TSZ)により誘導される、細胞株および初代培養線維芽細胞のネクロトーシスが抑制されることを見出した。TAMキナーゼは抗アポトーシス性であり、炎症の消散を仲介すると考えられる。TAMキナーゼの欠損または阻害により、TSZ誘導性のRIPK活性化、ネクロソーム形成、MLKLのリン酸化と移動には影響がなかったが、MLKLのオリゴマー化が抑制された。ネクロトーシスにおいて、Tyro3はMLKLと物理的に相互作用し、Tyr376のリン酸化を誘導した。自発的にオリゴマー化する恒常的活性型変異MLKLを発現する細胞では、Tyro3の阻害または欠損によりネクロトーシスが抑制された。MLKL欠損細胞において、野生型MLKLを発現させると、細胞がTSZ誘導性ネクローシスに感受性となったが、Y376A変異MLKLを発現させた場合にはそのような感受性は認められなかった。マウスにTNF-αとカスパーゼ阻害剤zVAD.fmk(TZ)を投与すると、ネクロトーシスが主要な役割を果たす全身性炎症反応症候群(SIRS)が引き起こされる。しかし、Tyro3、Axl、MerTKを三重に欠損したマウスは、TZ誘発性のSIRSから保護され、TZを投与した野生型マウスと比較して、肝臓におけるMLKLのチロシンリン酸化が大幅に少なかった。野生型マウスにTAMキナーゼ阻害剤を投与すると、TZ曝露後の生存期間が延長し、TZ誘導性のMLKLチロシンリン酸化も阻害された。以上のデータを総合すると、TAMファミリーメンバーは、MLKLをリン酸化し、オリゴマー化を誘導することによって、ネクロトーシスを促進することが示唆される。TAMキナーゼはがんにおいて高頻度に増幅されているため、これらのデータから、一部のがん細胞がネクロトーシスに感受性となる可能性があることが示唆される。

英文原文をご覧になりたい方はScience Signaling オリジナルサイトをご覧下さい

英語原文を見る

2019年6月25日号

Editor's Choice

TAMはMLKLを標的にする

Research Article

LIMK1を薬理学的に阻害するとβアミロイドに対する樹状突起棘の回復力が高まる

低用量メチル水銀曝露により誘発されるDrp1の脱ポリスルフィド化は血行動態的過負荷に対する心臓の脆弱性を増加させる

アリル炭化水素受容体を介したキヌレニンのシグナル伝達が、ヒト胚性幹細胞の未分化状態を維持する

最新のEditor's Choice記事

2019年10月1日号

ストレス、年齢、そしてがん

2019年9月24日号

オルガネラは脂質動員のために接触する

2019年9月17日号

低温から脱する

2019年9月10日号

PIEZO1が炎症を促進する

2019年9月3日号

Gタンパク質活性化を可視化する