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低用量メチル水銀曝露により誘発されるDrp1の脱ポリスルフィド化は血行動態的過負荷に対する心臓の脆弱性を増加させる

Depolysulfidation of Drp1 induced by low-dose methylmercury exposure increases cardiac vulnerability to hemodynamic overload

Research Article

Sci. Signal. 25 Jun 2019:
Vol. 12, Issue 587, eaaw1920
DOI: 10.1126/scisignal.aaw1920

Akiyuki Nishimura1,2,3, Kakeru Shimoda2,3,4, Tomohiro Tanaka2,3,5, Takashi Toyama3,*, Kazuhiro Nishiyama1, Yasuhiro Shinkai6, Takuro Numaga-Tomita2,3,4, Daiju Yamazaki7, Yasunari Kanda7, Takaaki Akaike8, Yoshito Kumagai6, and Motohiro Nishida1,2,3,4,†

1 Graduate School of Pharmaceutical Sciences, Kyushu University, Fukuoka 812-8582, Japan.
2 Exploratory Research Center on Life and Living Systems (ExCELLS), National Institutes of Natural Sciences (NINS), Okazaki 444-8787, Japan.
3 National Institute for Physiological Sciences (NIPS), NINS, Okazaki 444-8787, Japan.
4 SOKENDAI (School of Life Science, Graduate University for Advanced Studies), Okazaki 444-8787, Japan.
5 Faculty of Medicine, University of Tsukuba, Tsukuba 305-8575, Japan.
6 Center for Novel Science Initiatives (CNSI), NINS, Tokyo 105-0001, Japan.
7 Division of Pharmacology, National Institute of Health Sciences, Kanagawa, 210-9501, Japan.
8 Graduate School of Medicine, Tohoku University, Sendai 980-8575, Japan.

† Corresponding author. Email: nishida@nips.ac.jp

* Present address: Graduate School of Pharmaceutical Sciences, Tohoku University, Sendai 980-8575, Japan.

要約

環境求電子汚染物質であるメチル水銀(MeHg)への慢性的な曝露は、ヒトの心イベントのリスクを高めると報告されている。われわれは、低非神経毒性用量のMeHgへの曝露が、マウスにおいて圧負荷により誘発される心不全を促進したことを報告する。10 ppmのMeHgへの曝露は、より高用量に典型的な体重減少を誘発しなかったが、グアニンヌクレオチド交換因子フィラミン-AによるDrp1の活性化を介して心筋におけるミトコンドリアの過分裂を引き起こした。新生仔ラットの心筋細胞を、Drp1とフィラミン-Aの相互作用の阻害剤であるシルニジピンで処理すると、低用量MeHg曝露によるミトコンドリアの過分裂が抑制された。タンパク質中のシステイン残基をポリサルファイドで修飾することは、哺乳動物細胞におけるレドックスシグナル伝達およびミトコンドリア恒常性にとって重要である。われわれは、MeHgが、そのSH側鎖がかさばり求核性のポリサルファイド(Cys624-S(n)H)を形成するレドックス感受性残基Cys624でラットDrp1を標的とすることを見出した。MeHg曝露はDrp1におけるCys624-S(n)Hの脱ポリスルフィド化を誘導し、それはDrp1のフィラミン依存的活性化およびミトコンドリアの過分裂をもたらした。反応性ポリサルファイドの供与体として作用するNaHSによる処理は、げっ歯類およびヒト心筋細胞ならびにマウス心臓におけるMeHg誘発Drp1脱ポリスルフィド化および機械的負荷に対する脆弱性を逆転させた。これらの結果は、低用量MeHgによるCys624-S(n)HでのDrp1の脱ポリスルフィド化が、フィラミン依存的ミトコンドリア過分裂を介して機械的負荷に対する心臓の脆弱性を増加させることを示唆する。

Citation: A.Nishimura, K. Shimoda, T. Tanaka, T. Toyama, K.Nishiyama, Y. Shinkai, T.Numaga-Tomita, D. Yamazaki, Y. Kanda, T. Akaike, Y. Kumagai, M. Nishida, Depolysulfidation of Drp1 induced by low-dose methylmercury exposure increases cardiac vulnerability to hemodynamic overload. Sci. Signal. 12, eaaw1920 (2019).

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