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アリル炭化水素受容体を介したキヌレニンのシグナル伝達が、ヒト胚性幹細胞の未分化状態を維持する

Kynurenine signaling through the aryl hydrocarbon receptor maintains the undifferentiated state of human embryonic stem cells

Research Article

Sci. Signal. 25 Jun 2019:
Vol. 12, Issue 587, eaaw3306
DOI: 10.1126/scisignal.aaw3306

Takako Yamamoto1, Kunitada Hatabayashi2, Mao Arita1, Nobuyuki Yajima1, Chiemi Takenaka1, Takashi Suzuki3, Masatoshi Takahashi3, Yasuhiro Oshima2, Keisuke Hara2, Kenichi Kagawa2, and Shin Kawamata1,4,*

1 Research & Development Center for Cell Therapy, Foundation for Biomedical Research and Innovation, 2-2 Minatojima Minami-machi, Chuo-ku, Kobe 650-0047, Japan.
2 Innovative Technology Planning Department, Tokyo Electron Limited, Akasaka Biz Tower, 5-3-1 Akasaka, Minato-Ku, Tokyo 107-6325, Japan.
3 Analytical and Measuring Instruments Division, Shimadzu Corporation, 1 Nishinokyo, Kuwahara-cho, Nagagyo-ku, Kyoto 604-8511, Japan.
4 Riken Center for Developmental Biology, 2-1 Minatojima Minami-machi, Chuo-ku, Kobe 650-0047, Japan.

* Corresponding author. Email: kawamata@fbri.org

要約

インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ1(IDO1)によってトリプトファンから生成されるキヌレニンは、アリル炭化水素受容体(AhR)に結合する。今回われわれは、キヌレニンが未分化ヒト胚性幹細胞(hESC)および人工多能性幹細胞(iPSC)により産生されたことを報告する。未分化hESCにおいて、キヌレニンはAhRを刺激して自己複製遺伝子の発現を促進した。キヌレニン-AhR複合体はポジティブフィードバックループを活性化してIDO1およびAHRの発現も刺激した。IDO1活性の阻害により未分化ESCの増殖は抑制されたが、その分化は刺激しなかった。培地中に相当量の遊離キヌレニンが存在し、未分化状態の維持のためのパラクリンシグナルとなっていた。分化したESCまたはiPSCの培地中にはキヌレニンは存在しなかった。ESCに外胚葉分化を誘導すると、キヌレニンアミノトランスフェラーゼ2(KAT2、別名AADAT)が介在する主なキヌレニン異化経路の活性化を通じてキヌレニンの存在量が減少し、その結果として2-アミノアジピン酸(2-AAA)の培地中への分泌が生じた。KAT2活性の阻害は外胚葉分化を遮断した。ここのようにキヌレニンは、未分化状態の維持および外胚葉分化に重要な役割を果たしている。さらに培地中のキヌレニンは未分化状態を示すバイオマーカーである一方、培地中の2-AAAの存在は、外胚葉系譜に沿って分化したESCおよびiPSCのバイオマーカーである。

Citation: T. Yamamoto, K. Hatabayashi, M. Arita, N. Yajima, C. Takenaka, T. Suzuki, M. Takahashi, Y. Oshima, K. Hara, K. Kagawa, S. Kawamata, Kynurenine signaling through the aryl hydrocarbon receptor maintains the undifferentiated state of human embryonic stem cells. Sci. Signal. 12, eaaw3306 (2019).

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