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抗ウイルス活性の要点
The long and short of antiviral activity
Sci. Signal. 03 Dec 2019:
Vol. 12, Issue 610, eaba3657
DOI: 10.1126/scisignal.aba3657
Erin R. Williams
Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA
J. Schwerk, F. W. Soveg, A. P. Ryan, K. R. Thomas, L. D. Hatfield, S. Ozarkar, A. Forero, A. M. Kell, J. A. Roby, L. So, J. L. Hyde, M. Gale Jr., M. D. Daugherty, R. Savan, RNA-binding protein isoforms ZAP-S and ZAP-L have distinct antiviral and immune resolution functions. Nat. Immunol. 20, 1610-1620 (2019).
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偽酵素PARP13の短いアイソフォームのみがインターフェロン応答を抑制する
要約
抗ウイルス薬であるインターフェロンのシグナル伝達は、細胞の遺伝子発現と代謝を顕著に変化させる。I型またはIII型インターフェロン(IFN)を感知した後に細胞がどのように恒常性を回復するかは、依然として不明である。SchwerkらはIFN転写産物を不安定化するであろう特異的なRNA結合タンパク質(RBP)を同定するため、RNA免疫沈降-質量分析法を用いた。その結果、偽酵素のポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ13(PARP13、別名ZAPまたはZC3HAV1)の短いアイソフォームがIFNL3 mRNAの3'非翻訳領域に結合するが、変異AUリッチエレメントをもつバージョンには結合しないことを見出した。さらに、PARP13の短いアイソフォーム(PARP13-s)はIFNL2、IFNL3およびIFNb mRNAと相互作用する可能性もあったが、長いアイソフォーム(PARP13-l)は相互作用しなかった。この抗ウイルス性のジンクフィンガータンパク質は3′-5′RNA分解複合体の複数の構成要素に結合し、分解のためにウイルスと細胞の両方のRNAを標的とすることができる。実際に、PARP13の欠損はRNAトランスフェクションに応答してIFNbおよびIFNL1/2の発現を亢進した。著者らは、PARP13-sの発現はそれ自体がインターフェロンにより活性化されること、切断因子CSTF2が介在する選択的スプライシングを必要としたこと、しかもPARP13-lにのみ存在するC末端のCAAXモチーフが、PARP13-sの細胞内コンパートメントとは異なるコンパートメントへのその局在を媒介していることを確認した。相補性試験において、個別のアイソフォームは反対の機能を示した。PARP13-lは、シンドビスウイルスRNAの分解を促進する直接的な抗ウイルス機能をもっていたが、PARP13-sはインターフェロン応答を制限し、細胞内RNAにより活性化されるIFNをコードするmRNAの発現を抑制した。PARP13-l内のCAAXモチーフの変異はその細胞質への局在を促進し、さらにIFNをコードするmRNAとの会合も亢進した。まとめるとこれらのデータは、RBPのプロウイルス活性と抗ウイルス活性がどれほど状況依存的であるかを見事に示している。さらに著者らは、同一のジンクフィンガードメインをもつPARPタンパク質がどのように固有の高ウイルス機能を持ち得るかという長い間解けなかったミステリーに対して、1つの可能性のある答えを示している。