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新たなつながり:SCLCのための標的治療の選択肢

New connections: Targeted treatment options for SCLC

Editor's Choice

Sci. Signal. 11 Feb 2020:
Vol. 13, Issue 618, eabb1864
DOI: 10.1126/scisignal.abb1864

Leslie K. Ferrarelli

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

H. Zhang, C. L. Christensen, R. Dries, M. G. Oser, J. Deng, B. Diskin, F. Li, Y. Pan, X. Zhang, Y. Yin, E. Papadopoulos, V. Pyon, C. Thakurdin, N. Kwiatkowski, K. Jani, A. R. Rabin, D. M. Castro, T. Chen, H. Silver, Q. Huang, M. Bulatovic, C. M. Dowling, B. Sundberg, A. Leggett, M. Ranieri, H. Han, S. Li, A. Yang, K. E. Labbe, C. Almonte, V. O. Sviderskiy, M. Quinn, J. Donaghue, E. S. Wang, T. Zhang, Z. He, V. Velcheti, P. S. Hammerman, G. J. Freeman, R. Bonneau, W. G. Kaelin Jr., K. D. Sutherland, A. Kersbergen, A. J. Aguirre, G.-C. Yuan, E. Rothenberg, G. Miller, N. S. Gray, K.-K. Wong, CDK7 inhibition potentiates genome instability triggering anti-tumor immunity in small cell lung cancer. Cancer Cell 37, 37-54.e9 (2020). Google Scholar

A. Augert, E. Eastwood, A. H. Ibrahim, N. Wu, E. Grunblatt, R. Basom, D. Liggitt, K. D. Eaton, R. Martins, J. T. Poirier, C. M. Rudin, F. Milletti, W.-Y. Cheng, F. Mack, D. MacPherson, Targeting NOTCH activation in small cell lung cancer through LSD1 inhibition. Sci. Signal. 12, eaau2922 (2019). Google Scholar

D. R. Blake, A. V. Vaseva, R. G. Hodge, M. P. Kline, T. S. K. Gilbert, V. Tyagi, D. Huang, G. C. Whiten, J. E. Larson, X. Wang, K. H. Pearce, L. E. Herring, L. M. Graves, S. V. Frye, M. J. Emanuele, A. D. Cox, C. J. Der, Application of a MYC degradation screen identifies sensitivity to CDK9 inhibitors in KRAS-mutant pancreatic cancer. Sci. Signal. 12, eaav7259 (2019). Google Scholar

小細胞肺がんを効果的に治療できる可能性があることを多様な研究が明らかにしている。

要約

小細胞肺がん(SCLC)の患者には治療選択肢がほとんどなく、治癒することはまれである。そのため、臨床転帰を改善するにはSCLC特異的な分子シグネチャに合わせた標的治療薬を特定することがきわめて重要である。Science SignalingのアーカイブでAugertらは、患者由来の腫瘍を有するマウスにおいて、エピジェネティック酵素LSD1の阻害剤が高悪性度SCLCサブタイプの腫瘍抑制シグナル伝達を再活性化し、持続的な腫瘍退縮(縮小)を引き起こすことを明らかにした。SCLCの分子ドライバーは他にほとんど知られていない。転写因子であり発がん遺伝子であるMYCは過剰発現されていることが多いが、治療の標的にするのは難しい。そのため、キナーゼCDK9(アーカイブのBlake et al.参照)の阻害剤など、MYCタンパク質の分解を引き起こす治療法の探索は有益である可能性がある。さらなる戦略は、腫瘍微小環境の考察から生まれる可能性がある。腫瘍による腫瘍関連免疫細胞の抑制を標的としたプログラム細胞死1(PD-1)遮断抗体などの免疫療法は、SCLC治療法として承認されているが、患者の生存への利益は限られている。一般に免疫療法は、免疫細胞が活発に浸潤している、いわゆる「熱い」腫瘍にのみ有効である。Zhangらは、CDK7阻害剤(YKL-5-124)がSCLCを「熱く」して免疫療法の有効性を改善させることを見出した。多様なSCLCモデルにおいて、YKL-5-124は細胞周期を遅らせ、複製ストレスとゲノム不安定性を引き起こし、それが引き金となって、T細胞を腫瘍内へ動員する多様な免疫性サイトカインが分泌された。YKL5-124とPD-1遮断抗体のいずれかを単剤で使用した場合に比べて、YKL5-124とPD-1遮断抗体の2剤を併用すると、より持続的に腫瘍増殖が抑制され、SCLCを有するマウスの生存率が高まり、こうした効果は、マウスでは明らかな全身的な毒性を認めず、これら2剤と標準的な化学療法をさらに併用した場合に最大となった。これらの研究は、SCLC患者のための新たな、そして願わくば改善された治療選択肢へと至る道筋が築かれつつあることを明らかにしている。

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2020年2月11日号

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新たなつながり:SCLCのための標的治療の選択肢

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