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脂肪細胞が創傷の治癒を助ける

Fat cells help wounds heal

Editor's Choice

Sci. Signal. 07 Jul 2020:
Vol. 13, Issue 639, eabd6235
DOI: 10.1126/scisignal.abd6235

Annalisa M. VanHook

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

B. A. Shook, R. R. Wasko, O. Mano, M. Rutenberg-Schoenberg, M. C. Rudolph, B. Zirak, G. C. Rivera-Gonzalez, F.López-Giráldez, S. Zarini, A. Rezza, D. A. Clark, M. Rendl, M. D. Rosenblum, M. B. Gerstein, V. Horsley, Dermal adipocyte lipolysis and myofibroblast conversion are required for efficient skin repair. Cell Stem Cell 26, 880-895.e6 (2020). Google Scholar

D. Merrick, P. Seale, Skinny fat cells stimulate wound healing. Cell Stem Cell 26, 801-803 (2020). Google Scholar

皮膚脂肪細胞はマクロファージを動員し、筋線維芽細胞へと分化転換することによって、創傷の治癒を促進する。

要約

創傷の治癒には、上皮、線維芽細胞、マクロファージが正確に協調する必要があるが、他の細胞種の貢献についても理解が進んでいる。皮膚脂肪細胞は、皮下脂肪組織内の脂肪細胞とは機能的に異なり、創傷の修復やその他の皮膚で起きる過程に関与している。Shookらは、皮膚が創傷を受ける前に皮膚脂肪細胞を枯渇させると、創傷部へのマクロファージの動員が減少し、創傷床の血管再生と再上皮化が遅延することを明らかにした。正常な皮膚では、創傷部にマクロファージが動員されるにつれ、創傷縁の脂肪細胞の脂質含量が減少した。脂肪分解を遮断するために皮膚脂肪細胞で特異的に脂肪組織トリグリセリドリパーゼ(ATGL)を誘導的にノックアウトさせると、このような脂質含量の減少が妨げられ、創傷床で数種類の脂肪酸の量が減少し、マクロファージの動員が損なわれ、血管再生が遅延した。細胞系譜トレース実験では、創傷縁の脂肪細胞は脂肪細胞特異的マーカーを失い、脂質含量の減少後に創傷床へと遊走したが、脂肪分解を遮断すると、創傷床へ遊走しなかった。系譜トレース実験で創傷床へ遊走した脂肪細胞のトランスクリプトームをプロファイリングしたところ、これらの脂肪細胞が活性化型線維芽細胞(筋線維芽細胞)のマーカーを発現していることが明らかになった。筋線維芽細胞は、細胞外マトリックスを改質させ、修復を駆動する増殖因子を分泌することによって、創傷の治癒に寄与する収縮性細胞である。このように損傷部の脂肪細胞は、脱分化し、脂肪分解を起こし、マクロファージの活性化を促進する2種類を含む数種類の脂肪酸(Merrick and Sealeの解説参照)を創傷床へ放出したあと、創傷床へと遊走し、筋線維芽細胞へと分化転換する。皮膚脂肪細胞による脂肪酸の放出がマクロファージの動員に寄与するかどうか、どのように寄与するのかは、まだ明らかにされていない。

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