- ホーム
- 向社会性ニューロリジン
向社会性ニューロリジン
A prosocial neuroligin
Sci. Signal. 18 Aug 2020:
Vol. 13, Issue 645, eabe3352
DOI: 10.1126/scisignal.abe3352
Leslie K. Ferrarelli
Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA
H. Hörnberg, E. Pérez-Garci, D. Schreiner, L. Hatstatt-Burklé, F. Magara, S. Baudouin, A. Matter, K. Nacro, E.Pecho-Vrieseling, P. Scheiffele, Rescue of oxytocin response and social behaviour in a mouse model of autism. Nature 584, 252-256 (2020).
Google Scholar
NLGN3は自閉症マウスモデルでオキシトシンシグナル伝達、タンパク質合成、社会的行動に関連する。
要約
自閉症スペクトラム症(ASD)は一般に、社会的相互作用、コミュニケーション、感覚処理、伝統的学習の障害を特徴とする。この疾患は、症状も遺伝子との関連も多様であるため、因果関係を確立するのは難しく、ゆえに治療も困難である。一部の自閉症患者では、向社会性ホルモンであるオキシトシンのベースライン量が低下している。Hörnbergらは幼若マウスを用いて、シナプス接着タンパク質ニューロリジン3(NLGN3)のASDに関連する欠失によって、脳内の「報酬中枢」におけるオキシトシンシグナル伝達が減少し、それによって社会的相互作用が低下することを明らかにした。NLGN3を欠失させると、中脳のドパミン作動性ニューロンにおいてMAPK相互作用キナーゼ(MNK)に依存する形でオキシトシンによって誘発される発火が抑制され、ホメオスタシス(恒常性)関連タンパク質の翻訳が撹乱された。脳浸透性のMNK阻害薬によって、NLGN3欠損マウスだけでなく別のASDげっ歯類モデル(具体的には脆弱X染色体症候群に関連するFmr1のノックアウト)でも翻訳恒常性と社会的行動が改善されたことから、この治療アプローチはNLGN3欠失型の患者以外にも適用できる可能性がある。