• ホーム
  • 5hmCでマークされた停止複製フォークのAPE1による分解がゲノム不安定性を引き起こす

5hmCでマークされた停止複製フォークのAPE1による分解がゲノム不安定性を引き起こす

Degradation of 5hmC-marked stalled replication forks by APE1 causes genomic instability

Research Article

Sci. Signal. 18 Aug 2020:
Vol. 13, Issue 645, eaba8091
DOI: 10.1126/scisignal.aba8091

Suhas S. Kharat1,*, Xia Ding1,*,†, Divya Swaminathan1, Akshey Suresh1, Manish Singh1, Satheesh K. Sengodan1, Sandra Burkett1, Hanna Marks1, Chinmayi Pamala1, Yafeng He1, Stephen D. Fox2, Eugen C. Buehler3, Kathrin Muegge1,2, Scott E. Martin3,‡, and Shyam K. Sharan1,§

  1. 1 Mouse Cancer Genetics Program, Center for Cancer Research, National Cancer Institute, Frederick, MD 21702, USA.
  2. 2 Leidos Biomedical Research Inc., Frederick National Laboratory for Cancer Research, Frederick, MD 21702, USA.
  3. 3 Division of Preclinical Innovation, National Center for Advancing Translational Sciences, NIH, Rockville, MD 20850, USA.

§ Corresponding author. Email: sharans@mail.nih.gov

* These authors contributed equally to this work.

† Present address: Oncology Research Unit, Pfizer Inc., San Diego, CA 92121, USA.

‡ Present address: Department of Discovery Oncology, Genentech Inc., South San Francisco, CA 94080, USA.

要約

ポリ(ADPリボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害とBRCA欠損による合成致死性は、乳房および卵巣腫瘍の治療に利用されている。しかし、PARP阻害剤(PARPi)に対する耐性が高頻度にみられる。潜在的な耐性機構を明らかにするために、われわれは、BRCA2欠損マウス胚性幹細胞においてゲノムワイドRNAiスクリーニングを行い、KB2P1.21マウス乳腺腫瘍細胞において検証した。複数のPARPiに対する耐性が、TET2(ten-eleven translocation)の発現低下によって出現することが見出された。TET2は、5-メチルシトシン(5mC)を酸化して5-ヒドロキシメチルシトシン(5hmC)やその他の産物を生成することによって、DNA脱メチル化を促進する。BRCA2欠損細胞においてTET2をノックダウンすると、停止した複製フォーク(RF)が保護された。5hmC存在量を増加させると、KB2P1.21およびヒトがん細胞において、塩基除去修復に関連する脱プリン脱ピリミジン部位エンドヌクレアーゼAPE1の動員により、BRCA2 の状態とは無関係に、停止RFの分解が誘導された。TET2欠損は、修復タンパク質RAD51の二本鎖切断(DSB)部位への動員や、RFの統合性に関連するタンパク質の存在量には影響を及ぼさなかった。TET2の欠損、その産物である5hmCの欠損、停止RFへのAPE1動員の欠損によって、化学療法剤シスプラチンに対する耐性が促進された。われわれの結果は、エピジェネティックマークの5hmCが停止RFの統合性の維持に果たす、これまで知られていなかった役割と、PARPiおよびシスプラチンに対する潜在的耐性機構を明らかにしている。

Citation: S. S. Kharat, X. Ding, D. Swaminathan, A. Suresh, M. Singh, S. K. Sengodan, S. Burkett, H. Marks, C. Pamala, Y. He, S. D. Fox, E. C. Buehler, K. Muegge, S. E. Martin, S. K. Sharan, Degradation of 5hmC-marked stalled replication forks by APE1 causes genomic instability. Sci. Signal. 13, eaba8091 (2020).

英文原文をご覧になりたい方はScience Signaling オリジナルサイトをご覧下さい

英語原文を見る

2020年8月18日号

Editor's Choice

向社会性ニューロリジン

Research Article

5hmCでマークされた停止複製フォークのAPE1による分解がゲノム不安定性を引き起こす

GULP1が尿路上皮がんのNRF2-KEAP1シグナル伝達軸を調節する

受容体チロシンキナーゼ活性化の速度論がERKシグナル伝達のダイナミクスを規定する

最新のResearch Article記事

2024年4月9日号

前立腺がんにおいて脂質合成を阻害するとDNA損傷が誘導され、PARP阻害がもたらす細胞死が増加する

A型インフルエンザウイルス感染中にMiz1がI型インターフェロンの産生を抑制してウイルス除去を制限する

2024年4月2日号

フェリチンの重サブユニットは肝星細胞でICAM-1を介してNLRP3インフラマソームを刺激し、肝臓の炎症を促進する

2024年3月26日号

ミクログリア内のグルコシルセラミドの蓄積がマウスにおいてSTING依存性の神経炎症と神経変性を引き起こす

2024年3月19日号

運動によって誘導されるBDNFは運動後回復期に骨格筋脂質代謝のPPARδ依存性リプログラミングを促進する