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PDACでは"悪玉"コレステロールは善玉である
In PDAC, “bad” cholesterol is good
Sci. Signal. 10 Nov 2020:
Vol. 13, Issue 657, eabf5642
DOI: 10.1126/scisignal.abf5642
Leslie K. Ferrarelli
Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA. Email: lferrare@aaas.org
L. Gabitova-Cornell, A. Surumbayeva, S. Peri, J. Franco-Barraza, D. Restifo, N. Weitz, C. Ogier, A. R. Goldman, T. R. Hartman, R. Francescone, Y. Tan, E. Nicolas, N. Shah, E. A. Handorf, K. Q. Cai, A. M. O'Reilly, I. Sloma, R.Chiaverelli, R. A. Moffitt, V. Khazak, C. Y. Fang, E. A. Golemis, E. Cukierman, I. Astsaturov, Cholesterol pathway inhibition induces TGF-β signaling to promote basal differentiation in pancreatic cancer. Cancer Cell 38, 567-583.e11 (2020).
Google Scholar
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https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33049206/ [PubMed]
LDLを低下させるスタチン系薬は膵がんの侵襲性サブタイプの発生を促進する可能性がある
要約
肥満と血清コレステロールの増加は、膵管腺癌(PDAC)などの多様ながんの危険因子である。しかし、コレステロールを低下させるスタチン系薬には、心臓疾患処置の目的で患者に処方されることはよくあるが、腫瘍増殖の予防という追加利益はなかった。むしろ、Gabitova-Cornellらは、患者においてスタチン治療とPDACの侵襲性の高さとのあいだに正の相関がみられることを見出した(Kugel and Hingoraniによるcoverageも参照)。KRAS変異/p53欠損マウスモデルでは、スタチン系薬または条件的遺伝子欠損によってコレステロール合成を欠損させると、基底(腺性ではなく)のPDACの発生が促進され、増殖が加速され、その結果としてマウス生存率が低下した。このような表現型の転換は、脂質恒常性タンパク質SREBP1をコードする遺伝子の誘導と、それによって引き起こされるトランスフォーミング増殖因子β(TGF-β)をコードする遺伝子の誘導によって媒介されていた。分泌されたTGF-βは、自己分泌という形でTGF-βの受容体を活性化し、それが上皮間葉転換(EMT)を媒介した。このSREBP1-TGF-β-EMT軸は、低密度リポタンパク質(LDL)を添加すると抑制された。特筆すべきは、SREBP1-TGF-βシグナル伝達が誘導されたにもかかわらず――いや、もしかすると誘導されたからこそ――p53正常マウスモデルではスタチン系薬によって前駆病変の悪性化が阻止されたことである。これらの知見は、p53正常腫瘍を有する可能性のある患者の場合を除いて、スタチン系薬がPDACの予防と治療に逆効果であることを示している。