転移性のNETを標的にする

Targeting metastatic NETs

Editor's Choice

Sci. Signal. 16 Mar 2021:
Vol. 14, Issue 674, eabi4338
DOI: 10.1126/scisignal.abi4338

Leslie K. Ferrarelli

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA. Email: lferrare@aaas.org

Y. Xiao, M. Cong, J. Li, D. He, Q. Wu, P. Tian, Y. Wang, S. Yang, C. Liang, Y. Liang, J. Wen, Y. Liu, W. Luo, X. Lv, Y. He, D. D. Cheng, T. Zhou, W. Zhao, P. Zhang, X. Zhang, Y. Xiao, Y. Qian, H. Wang, Q. Gao, Q. C. Yang, Q. Yang, G. Hu, Cathepsin C promotes breast cancer lung metastasis by modulating neutrophil infiltration and neutrophil extracellular trap formation. Cancer Cell 39, 423-437.e7 (2021). Google Scholar

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33450198/ [PubMed]

K. Kos, K. E. de Visser, Neutrophils create a fertile soil for metastasis. Cancer Cell 39, 301-303 (2021). Google Scholar

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33513347/ [PubMed]

カテプシンCによる腫瘍から好中球へのクロストークを遮断することによって、肺転移が予防される可能性がある。

要約

カテプシンは、重要な細胞内および細胞外機能を果たすプロテアーゼのファミリーであるが、さまざまな腫瘍のタイプの転移にも関連している。Xiaoらは、腫瘍によって分泌されるカテプシンCが、がん転移における好中球の役割を促進することを見出した(Kosとde Visserによる記事も参照)。患者検体において、原発巣のカテプシンCの存在量は、患者の無転移生存期間および全生存期間の短縮と相関していた。転移性病変におけるその存在量は、同一患者の原発巣における存在量より多かった。血清中の存在量は、肺転移を有する患者において、より遠隔部位の転移を有する患者より多かった。乳がん細胞株では、カテプシンCの発現と分泌に、in vivoの肺転移能との相関が認められた。しかし、その発現を操作しても、培養中の細胞に対する大きな増殖作用または浸潤作用は認められなかった。さまざまな間質細胞型の分析により、腫瘍に由来するカテプシンCが、転移の初期の播種段階で、肺における好中球の数と活性化を選択的に増加させることが明らかになった。腫瘍由来のカテプシンCは、細胞株および患者由来の好中球の膜において、セリンプロテアーゼPR3をタンパク分解性にプロセシングし、IL-1βに依存する分岐した機構を介して、サイトカインIL-6およびCCL3の分泌と、活性酸素種(ROS)の産生を刺激した。これらのサイトカインとROSがそれぞれ、さらなる好中球を引きつけ、好中球細胞外トラップ(NET)の形成を促進した。NETは転移抑制性の細胞外マトリックスタンパク質TSP-1の分解を促進し、その結果として、肺転移巣の増大を促進した。AZD7986(別名INS1007、好中球誘導性肺疾患に対する治療として現在試験中の薬剤)によってカテプシンCを阻害する、またはIL-6とNETを同時に阻害すると、マウスにおいて、好中球の動員と、同所移植した乳がん細胞の肺転移が抑制された。患者検体においては、NETの形成が、治療選択肢の少ないトリプルネガティブ(TNBC)サブタイプの腫瘍でより多く認められた。これらの結果は、転移性乳がんの肺特異的な好中球介在性の機構を詳細に明らかにしており、患者の転移性進行を抑制するための新たな分子標的をもたらす可能性がある。

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