腫瘍の覆いを取る

Uncloaking tumors

Editor's Choice

SCIENCE SIGNALING
28 Sep 2021 Vol 14, Issue 702
DOI: 10.1126/scisignal.abm4949

LESLIE K. FERRARELLI

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA. Email: lferrare@aaas.org

J. M. Gozgit, M. M. Vasbinder, R. P. Abo, K. Kunii, K. G. Kuplast-Barr, B. Gui, A. Z. Lu, J. R. Molina, E. Minissale, K. K. Swinger, T. J. Wigle, D. J. Blackwell, C. R. Majer, Y. Ren, M. Niepel, Z. A. Varsamis, S. P. Nayak, E. Bamberg, J.-R. Mo, W. D. Church, A. S. A. Mady, J. Song, L. Utley, P. E. Rao, T. J. Mitchison, K. W. Kuntz, V. M. Richon, H. Keilhack, PARP7 negatively regulates the type I interferon response in cancer cells and its inhibition triggers antitumor immunity. Cancer Cell 39, 1214-1226.e10 (2021).
CROSSREF  PUBMED  GOOGLE SCHOLAR

PARP7の阻害によって、がん免疫監視に関わる抗ウイルス関連経路が有効になる。

要約

自然免疫は、病原体による感染や腫瘍などの組織損傷に対する宿主の防御である。細胞質DNAおよびRNA(がんの遺伝的不安定性に伴う)などの関連する危険信号に応答して、細胞はI型インターフェロンを産生し、その結果として、抗原提示細胞と細胞傷害性T細胞を活性化し動員するケモカインを産生する。腫瘍は、この腫瘍-免疫系の相互作用を抑制し、それによって検知を免れる場合が多い。しかし、Gozgitらは、PARP阻害剤によって、腫瘍における細胞質DNA/RNA感知を回復させる方法を発見した。ポリ[アデノシン二リン酸(ADP)リボース]ポリメラーゼ(PARP)は、細胞ストレス応答を含むさまざまな細胞機能を調節する。PARP7は、ウイルス感染のマウスモデルにおいて、I型インターフェロン応答の抑制に関与する。Gozgitらは、PARP7が、インターフェロンを介する抗腫瘍応答も抑制することを見出した。PARP7はキナーゼTBK1をADPリボシル化し、細胞質DNAおよびRNAに対するSTINGおよびRIG-I介在性応答の下流で、TBK1がI型インターフェロン合成の誘導を仲介することを妨げた。PARP7選択的阻害剤であるRBN-2397は、培養中のさまざまな種類の腫瘍細胞において、インターフェロン応答とそれに続くケモカイン産生を回復させ、マウスにおいて、インターフェロンシグナル伝達依存的およびCD8+ T細胞依存的に腫瘍細胞の増殖を抑制し、時には腫瘍の持続的な退縮と免疫記憶を誘導した。CRISPRスクリーニングにより、核酸感知の阻害を調整する別のPARP7基質が同定された。バイオインフォマティクス解析では、多くの扁平上皮型腫瘍において、PARP7遺伝子座が増幅され、PARP7 mRNA発現が増加していることが示された。したがってこれらの結果は、患者の抗腫瘍自然免疫を回復させる治療標的を明らかにしたものであり、これは幅広いがんに対して有効性を示す可能性がある。

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