• ホーム
  • SIRPαはSHP-2を隔離してIL-4およびIL-13のシグナル伝達とマクロファージのオルタナティブ活性化を促進する

SIRPαはSHP-2を隔離してIL-4およびIL-13のシグナル伝達とマクロファージのオルタナティブ活性化を促進する

SIRPα sequesters SHP-2 to promote IL-4 and IL-13 signaling and the alternative activation of macrophages

Research Article

SCIENCE SIGNALING
28 Sep 2021 Vol 14, Issue 702
DOI: 10.1126/scisignal.abb3966

Lei Shi1, Koby Kidder1, Zhen Bian1, Samantha Kuon Ting Chiang1, Corbett Ouellette1,2, Yuan Liu1,2,*

  1. 1 Program of Immunology and Molecular Cellular Biology, Department of Biology, Georgia State University, Atlanta, GA 30302, USA.
  2. 2 Center of Diagnostics and Therapeutics, Georgia State University, Atlanta, GA 30302, USA.

* Corresponding author. Email: yliu@gsu.edu

要約

サイトカインのインターロイキン4(IL-4)とIL-13は、両方の受容体に共通する受容体サブユニットIL-4Rαに結合してマクロファージのオルタナティブ活性化を誘導し、免疫抑制と創傷治癒を促進する。活性化したIL-4受容体とIL-13受容体はチロシンホスファターゼSHP-1およびSHP-2を動員し、動員されたSHP-1およびSHP-2はIL-4Rαサブユニットを脱リン酸化して阻害する。本稿でわれわれは、免疫受容体SIRPαがSHP-2を空間的に制限してIL-4およびIL-13のシグナル伝達とマクロファージのオルタナティブ活性化を促進することを報告する。この作用には、IL-4およびIL-13に応答して活性化されたブルトンチロシンキナーゼ(Btk)によるチロシンのリン酸化を受ける、SIRPαの細胞質ITIMまたはITSMドメインを必要とした。このリン酸化が起こると、SHP-2のSIRPαへの動員が引き起こされ、SHP-2がIL-4RおよびIL-13Rに結合して阻害するのが妨げられた。リガンドCD47がSIRPαの細胞外ドメインに結合すると、BtkによるSIRPα細胞質ドメインのリン酸化が促進され、それによってSHP-2の隔離も促進された。逆に、SIRPαを欠損させると、SHP-2はIL-4RのγCサブユニットとIL-13RのIL-13Rα1サブユニットに結合してIL-4Rαを脱リン酸化できるようになり、シグナル伝達は弱まった。実験的結腸炎を有するSirpα−/−マウスでは、創傷治癒の欠損と結腸内の免疫抑制マクロファージの欠損に相関がみられ、この症状は、生体外で産生されたオルタナティブ活性化SIRPαhighマクロファージの注入によって解消された。これらの研究は、IL-4およびIL-13のシグナル伝達においてこれまで認識されていなかったSIRPαの役割を明らかにし、SIRPαによってマクロファージのオルタナティブ活性化が促進される機構的基盤を明らかにするものである。

Citation: L. Shi, K. Kidder, Z. Bian, S. K. T. Chiang, C. Ouellette, Y. Liu, SIRPα sequesters SHP-2 to promote IL-4 and IL-13 signaling and the alternative activation of macrophages. Sci. Signal. 14, eabb3966 (2021).

英文原文をご覧になりたい方はScience Signaling オリジナルサイトをご覧下さい

英語原文を見る

2021年9月28日号

Editors' Choice

腫瘍の覆いを取る

Research Article

SIRPαはSHP-2を隔離してIL-4およびIL-13のシグナル伝達とマクロファージのオルタナティブ活性化を促進する

メタボロミクスによるT細胞誘導性大腸炎の活性スクリーニングから抗炎症性代謝物を解明

Reviews

ウォルフラム症候群関連に関連した異なるタンパク質WFS1とCISD2のCa2+シグナル伝達モジュレーターとしての統合

最新のResearch Article記事

2025年03月18日号

転移性前立腺がんにおいてキナーゼPLK1は、抗アンドロゲン剤エンザルタミドに対するヘッジホッグシグナル伝達依存性の耐性を促進する

2025年03月18日号

構造解析により四量体チロシンリン酸化STAT1が狂犬病ウイルスPタンパク質によっていかに標的とされるかが明らかに

2025年03月11日号

骨髄のサーチュイン6欠損はノルエピネフリンの分解を誘導することによって発熱性組織機能を制限してマウスの肥満を引き起こす

2025年03月11日号

NEMOはキナーゼIKKαおよびATMのDNA損傷部位への誘導に不可欠である

2025年03月04日号

アセチルトランスフェラーゼGCN5はミクログリア細胞でNF-κBサブユニットp65をアセチル化して活性化することによりマウスの神経炎症に寄与する