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微生物叢からミクログリアへのメッセージ

A message for microglia from microbiota

Editor's Choice

SCIENCE SIGNALING
30 Nov 2021 Vol 14, Issue 711
DOI: 10.1126/scisignal.abn3996

WEI WONG

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA. E-mail: wwong@aaas.org

D. Erny, N. Dokalis, C. Mezö, A. Castoldi, O. Mossad, O. Staszewski, M. Frosch, M. Villa, V. Fuchs, A. Mayer, J. Neuber, J. Sosat, S. Tholen, O. Schilling, A. Vlachos, T. Blank, M. Gomez de Agüero, A. J. Macpherson, E. J. Pearce, M. Prinz, Microbiota-derived acetate enables the metabolic fitness of the brain innate immune system during health and disease. Cell Metab. 33, 2260-2276.e7 (2021).
CROSSREF  PUBMED  GOOGLE SCHOLAR

C. M. K. Lynch, G. Clarke, J. F. Cryan, Powering up microbiome-microglia interactions. Cell Metab. 33, 2097-2099 (2021).
CROSSREF  PUBMED  GOOGLE SCHOLAR

微生物叢により産生される酢酸が、エピジェネティック作用とミトコンドリアの作用を通じてミクログリア機能を制御している。

要約

ミクログリアは中枢神経系の常在マクロファージであり、アルツハイマー病の病理に寄与している。無菌マウスでは微生物叢を有するマウスと比較し、未熟で低機能性のミクログリアの数が多いがβ-アミロイド沈着は少ない。これらの作用の一部は、微生物叢から産生される短鎖脂肪酸(SCFA)を投与することで回復する。Ernyらは、ミクログリアの機能を修飾するSCFAとして酢酸を同定し、さらに酢酸がミクログリア活性を制御する基本的機構を明らかにした。対照マウスのミクログリアと比較して無菌マウスのミクログリアでは、代謝遺伝子のメチル化およびアセチル化が変化し、代謝物プロファイルが異なり、ミトコンドリアの生物学および代謝に種々の欠損が生じていた。この変化には、ミトコンドリア含量の増加、呼吸鎖の複合体IIの機能低下、ミトコンドリアの基底膜電位(Δψm)の低下、コハク酸に反応して生じるΔψm増加の減弱、及びミトコンドリアによるROS産生の増加が含まれた。無菌マウスに再定着化処理もしくは酢酸投与を行なったとき、遺伝子発現、ミトコンドリア含量およびΔψmの変化の一部は正常化したが、その他のSCFAではそのような作用はみられなかった。対照マウスでは無菌マウスと比べ、CNS中の酢酸が高濃度で認められた。アルツハイマー病のマウスモデルにおいて、無菌コホートではβ-アミロイド斑付近のミクログリア数が増加し、β-アミロイドの沈着が減少していた。また、酢酸の投与はミクログリア数およびアミロイド斑の沈着を増加させた。このように、微生物叢により産生される酢酸は、エピジェネティック修飾およびミトコンドリアの呼吸鎖複合体IIの抑制を通じて、ミクログリア機能を制御している(Lynchらのcommentaryも参照)。

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